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誰であっても分け隔てなく接する

「自分の中では、この映画の主人公はサイトガイドの鈴木直也だと思うんです。この人は相手が障害があろうが、外国人だろうが子どもだろうが、誰であっても、分け隔てなく同じように付き合い、人生を楽しんでいる。そしてそれがまわりの人に笑顔をもたらすわけですが、それこそ人が本来あるべき姿じゃないかと思うんです。そういう意味で映画をご覧になる方が自分と重ねられるのって、ナオヤの姿だと思うんですよね」

サイトガイドのナオヤ(左)とコバ(右) (C) Life Is Climbing 製作委員会

サイトガイドのナオヤ(左)とコバ(右) (C) Life Is Climbing 製作委員会


本作の監督を務めたのは、テレビ番組「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系)で小林を密着取材した中原想吉。もともとはアメリカでのクライミングを短い映像でまとめ、それを世界に向けて配信できないかというのがはじまりだった。

そこでコバたちが中原監督に撮影を依頼したところ、中原監督から「せっかくなら映画にしませんか?」と逆に提案されたことで映画の企画がスタートした。

「僕たちが最初に監督に話を持ちかけたときは、こんな壮大な話になるなんて思ってもみなかった。僕らはただフィッシャー・タワーズの頂上に行く映像を撮りたいね、というだけだったんで。今の時代は、人との関係が希薄になったり、新しいことへの挑戦に気がひけてしまいがちですけど、だからこそ、自分の人生と重ねて考えられるような映画になってほしい。
実際、この映画はクライミング映画でもなければ、福祉の映画でもない。僕らが旅をしていく中で、人生ってもっと楽しいんじゃないかと見つけていくような映画だと思っています」

16歳の時にクライミングに魅せられたコバだったが、そんな彼が進行性の病気である「網膜色素変性症」を発症したのは28歳のこと。それまで見えていたものが、徐々に見えなくなっていくと診断され「一瞬にして、今までの人生がすべてがれきと化してしまったようだった」という。

先の見えない不安に押しつぶされそうな日々を送っていた彼だったが、リハビリテーションセンターのケースワーカーから「あなたがやりたいことをやりなさい。あなたが自分自身の生き方を見つけ、あなたの人生を生きるのです」と言葉をかけられたことや、全盲のクライマーとして初めて世界7大陸の最高峰を制覇したエリック・ヴァイエンマイヤーとの出会いによって、しだいに自分の生きる意味を見つけていった。


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