空間と時間を分かち合うため、カラオケも深夜営業もなし。
〈街中スナック〉はカラオケもなければ、深夜営業も行いません。従来のスナックと異なる形を取るのは、お酒を飲むことを本来の目的としていないから。
「僕たちが大切にしたいのは、あくまでもコミュニケーション。さまざまな世代がその空間と時間を分かち合い、交流できる場所にならないと意味がありません。だから、会話を楽しめないカラオケは設置しませんし、深酒になりがちな深夜営業も行いません。人と人がつながれるような安全でクリーンな場所であることが大事なので、もちろん色恋沙汰は禁止です」
さらに、外からも店内が見えるような空間づくりを行うなど、スナックに馴染みのない若い世代も入りやすく、楽しめるような仕組みも。
「ママ・マスターとなるのは、〈街中スナック〉独自の研修を受けた20代の若い世代。この世代がお店に立つことでスナックに馴染みのない世代でも入りやすくなるでしょうし、なにせシニア世代も若い人たちと話すのが好き。頑張っている若い世代を応援してくれるんです。
こうした異世代のコミュニケーションを学んだママ・マスターが媒介者となってつなぎますし、メニューもひと工夫。その場に居合わせた隣の人に1杯おごることでドリンクが100円引きになる『乾杯メニュー』や、1日頑張った人など自ら決めたテーマに合ったお客さんに1杯ドリンクをご馳走する『シェアボトル』などと、世代が違っても楽しく交流できる仕組みを作っています」
〈街中スナック〉のママ・マスター研修では、コミュニケーションや運用などを教えている
街の人と人をつなぐだけではなく、ほかの店舗との交流をはかるため、全国の〈街中スナック〉各店にモニターを設置。オンラインで他店同士の交流も行っているそう。
「他店のママ・マスターやお客さんたちがつながると、近くに来たからあの店舗に寄ってみようとか、ちょっとあの街まで行ってみようとか、街を超えたリアルな交流が生み出せるんです。街の中はもちろん、違う街にも知り合いができることで、新しいアイデアやビジネスが生まれることも。世代や街を超えたつながりが、誰かの新しい一歩を踏み出すきっかけになったらいいなと思ってます」
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