古き良き姿を残しながら、街と人を元気にしていく。
〈街中スナック〉では、街の人と一緒にゴミ拾いを行っている
これまでのスナックにはない、新しい形で空間と時間を分かち合う〈街中スナック〉。ママ・マスターが中心となり、街の人と一緒にゴミ拾いをしたり、夜の見回りを行ったりと、お店を飛び出して街中での活動もしています。街づくりの活動としては派手ではないかもしれませんが、小さなアクションこそ、街の人にとって必要なことだと田中さんは言います。
「僕が当初思い描いていた暮らしの困りごとを解決するスナックになるには、街の中での活動も重要だと思っていて。というのも、店外にも街の人とのつながりができれば、それだけたくさん街についての情報が集まるから、誰かが何かに困った時の助けにきっとなるので。
実は高齢者を狙った詐欺が街で横行したことがあったんですが、それを何気なく街のおばあちゃんから聞き、あまりにも怪しすぎて止めることができたんです。街の健康状態を常に知っておけば、セーフティネットとしての機能を果たすこともでき、街の人たちがより安心して元気に暮らしていける。〈街中スナック〉がその一助になっていけたらいいなって」
家とも職場とも違った、新たな居場所となる〈街中スナック〉。多世代が交流する場所が全国に増えていけば、街やそこで暮らす人にどんな変化が起こるのでしょうか。
「やっぱり街の中には、一世代だけでは解決できない困りごとばかりなんですよね。アイデアとやる気に満ちた若い世代、それをサポートする現役・シニア世代。お互いを理解し、次に世代にバトンをつないでいくことができれば街にいい循環が生まれ、街の課題もクリアにできるはず。
それにアナログよりデジタルが増えた今こそ、自分では解決できないような何かが起きたとき、頼れる人が街の中にいたら安心ですよね。街や人と上手に分かち合うことが求められていると感じます。こうした古き良き時代の姿が街に少しでも残っていれば、街の人が元気に暮らしていけると思います」
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