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「勇気を持って、声を上げていかなくては」


ピーターさん自身、亡くなって気づいた功績もある。アクティビストとしても長年、声を上げてきた坂本さんの姿だ。

「様々な環境問題や反原発運動など30年にわたって継続的に取り組んでいて、亡くなった直後に津田大介さんがポリタスTVでそれを特集しているのを見て改めて感心しました。自分の知名度を社会全体のために利用するエンターテイナーって滅多にいませんし、教授ほど知られている人でやっている方って日本にいるかな。見て見ぬふりができないと言っていました。かっこいいと思います」

社会問題について声を上げ続けた坂本さんから受け継いだこと (Getty Images)

社会問題について声を上げ続けた坂本さんから受け継いだこと (Getty Images)


最後に「坂本さんから学んだことや、託されたと感じていること」を尋ねると、ピーターさんは少し考えてこう告白した。

「彼の社会的な活動にはほぼ共鳴することばかり。僕も声をあげるべきだと思う反面、主にラジオに出ているなかでそういう発言をすると『hate mail』が届いて僕も嫌な気持ちになるのでね。そういうことをだんだん発言しなくなって......。ラジオで堂々と言えるかというと、躊躇してしまう自分が情けないなと思います。彼がいなくなったら他にそういうことをする人がますます必要です。勇気を持って声を上げていくようにした方が良いと思います」
 
坂本さんは「芸術は長く、人生は短し(Ars longa, vita brevis.)」という言葉を好んだ。ピーターさんは、年が明けてから鮎川誠さん、高橋幸宏さん、そして坂本さんなど身近なミュージシャンの旅立ちを見送った。

「私はいまは元気ですよ。でもそんな時がいつきても悔しくないように、1日1日納得できるように生きていくこと。そうしていきたいですね」



ピーター・バラカン◎1951年8月20日ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科卒業後、1974年、来日。シンコー・ミュージック国際部入社、著作権関係の仕事に従事。1980年退社し、このころから執筆活動、ラジオ番組への出演などを開始。1980年から1986年までイエロー・マジック・オーケストラ、後に個々のメンバーの海外コーディネーションを担当。1984年、TBS-TV「ザ・ポッパーズMTV」というミュージック・ヴィデオ番組の司会を担当、以降3年半続く。放送番組の制作、出演を中心に活動中。



督 あかり=文
Forbes JAPAN=記事提供

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