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爪の下にも、メラノーマは潜んでいる



――足の裏や手のひらにできたホクロは、皮膚がんの可能性が高いと聞きました。

もちろん足の裏や手のひらも例外ではありません。ただ、メラノーマは頭皮から足の裏まで、どこにでもできる可能性があります。また皮膚の表面的な異変にばかり注意を向けられがちですが、日本人では爪にあらわれることも多いんです。

――爪にあらわれる特徴とは、どういうものでしょうか?

初期では、爪の縦方向に黒い線があらわれます。それだけでは他の理由も考えられますが、色調にムラのある黒い線がどんどん太くなり、爪を超えて指の付け根や皮膚にまで黒く染まってくるような場合は、爪のメラノーマである可能性がとても高いです。

加えて出血が起こったり、爪が変形してくることもあります。
 

がんが全身の臓器に転移する可能性も

――もしもメラノーマと診断された場合、治療は難しいのでしょうか?

メラノーマの治療は手術が中心であり、早期であれば腫瘍を全部取り去ることで根治が可能です。しかしメラノーマが深刻と言われるのは、がんの中でも転移しやすいことが知られているからです。

――メラノーマは、皮膚だけの病気ではないんですか?

がん細胞は早期であれば皮膚だけに留まりますが、放っておくと、全身に点在するリンパ節に転移する可能性が高いんです。メラノーマがある箇所から遠い臓器へ遠隔転移することも多く、脳や肺、肝臓、など全身の臓器に影響を及ぼします。

――全身に転移するとは、とても恐ろしいです。何か対策はありますか?

メラノーマの予防でなにより重要なのは、紫外線対策です。もっとも日差しを受けやすいのは、頭と耳と顔であり、特に頭皮や耳のホクロは自分では発見しづらいため、なおさら対策が必要です。

――夏場は日焼け止めを塗っていましたが、頭や耳はノーマークでした。

年を取るにつれて髪のボリュームが減っているような方は、紫外線をよりダイレクトに受けていることになります。また近年、紫外線は3月ごろから急激に増加することが分かっていますので、夏場に限らず、外出時にはUVカットスプレーやUVケアが施された帽子をかぶり、メラノーマを意識的に予防しましょう。

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野田先生によると、メラノーマは40歳以降から発症のリスクが高まるという。日差しが徐々に強くなっていくこれからの季節、紫外線対策は入念に行おう。

長瀬瑠美奈=取材・文

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