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「酒を飲むと顔が赤くなる」は、がんのリスクを高める

©️OcusFocus/iStock

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――喫煙に加えて、飲酒もがんの大きな原因になるとは知りませんでした。


喉頭がんや咽頭がんでは特に、飲酒がリスクになります。大量の飲酒はもちろん避けるべきですが、量に関わらず、お酒を飲み始めてすぐに顔が赤くなる方は注意が必要です。

――お酒に弱い人は、これらのがんを引き起こしやすいということでしょうか?

その通りです。アルコールの分解がスムーズにいかない場合、アセトアルデヒドという代謝産物が蓄積します。これは、発がんリスクをもつ物質です。

顔が赤くなりやすい方では、このアセトアルデヒドを分解するパワーであるアルデヒド脱水素酵素の活性が弱い体質であることが分かっています。

――顔がすぐに赤くなるけれど、お酒に強い人もいますよね?

まさしくそういう方こそ、気を付けてほしいんです。飲酒を続けることで次第にたくさんの量を飲めるようになり、お酒に強くなったという方もいるでしょう。けれど生まれつき持っている体質は、変えることができません。

そのため顔が赤くなりやすい方は、より飲酒量に気を配ってほしいです。

コロナ後遺症との見分け方とは 

――最近ではコロナ後遺症としても、声のかすれが長引くと聞きました。

オミクロン株に感染したコロナ患者さんでは特に、声のかすれが長く続く傾向にあります。発症後すぐに咳が出ることが知られていますが、咳が続くのは、声帯が激しく動き続けているということです。

この場合の声のかすれは、過度な咳によって声帯そのものが傷ついてしまうことで起こります。そのため、声帯が修復されるまでの期間として、かすれが長く続いてしまうんです。

――なるほど、声帯の異常を起こす機序はいろいろあるんですね。

声のかすれがサインとなる肺がんも、喉頭がんや咽頭がんとは違った方法で声帯に異常を起こします。

肺がんでは近くにある縦隔リンパ節に転移することがあり、そこには声帯の動きをつかさどる反回神経が走っています。この場合はがんが反回神経を圧迫して麻痺させてしまうと声帯がうまく動かなくなってしまい、そのせいで声に症状が表れます。

――病気を進行させないために必要なことはありますか?

喉頭がんや咽頭がんは、一般的な健康診断や人間ドックでは発見ができません。そのため声や喉に異変を感じる際はきちんと病院にかかり、必要となる検査を受けることが重要です。


声のかすれにはたくさんの病気のサインが宿る。異変に気付いたら、まずは正しい診断を受けることを心得ておこう。

長瀬瑠美奈=取材・文

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