──今回、種田さんに依頼しようと思ったきっかけは? 𠮷田:コロナ禍で色々な商業施設が閉店するなか、店舗の役割を改めて考えさせられました。
僕自身、店舗内表現で自分の実力不足を感じていましたので、そこを大きく変えるという意味で、映画のセットを作る職人さんたちと一緒にできないかと思いました。そこで、今回ご縁があり、種田さんにお願いをさせていただきました。
ポータークラシックの𠮷田玲雄社長
大人のためのファンタジー空間
──𠮷田さんは以前に「ポータークラシックはモノを売るだけではなく、それにまつわるストーリーも売りたい」と話していましたが、今回の店舗デザインもその延長線上にあるのですか。 𠮷田:その通りです。ポータークラシックでは、全店舗の販売員が、ブランドストーリーや商品の生産背景などの情報がしっかり伝えられるように、日々勉強しています。それを店舗でも表現したいと考えていました。
種田:そこで、入り口から時計回りにぐるっと一周できるように動線をつくって、ストーリーを感じることができるように工夫しました。
ストーリーは、入ってすぐのギャラリースペースから始まる / ポータークラシック提供
全体のイメージは「船内」です。この店の上を高速道路が走っているので、たまに建物が揺れるんです。そのガタガタ揺れる感じも、ひとつの効果音になっています。
甲板では人形が舵をとる / ポータークラシック提供
店舗の真ん中に甲板を配置し天井に夜空を描いたり、𠮷田克幸会長の「かつ」からとった「KATSU船長の仕事部屋」もつくったりと様々な“場面”を設定しました。
私の中では、玲雄監督のもと、会長が主役の映画をつくるイメージでしたので、特に船長室は小道具にこだわって制作しました。
船長室の飾り窓から見える空は、時間帯によって色が変わる仕組み / ポータークラシック提供
動線の最後にシネマラウンジをつくったのも、「映画館の場面で終わる」というストーリーの一環です。
シネマラウンジでは、映画観賞も楽しめる / ポータークラシック提供
映画のセットと違うのは「色」
──工夫した点は? 種田:店舗の機能も重要ですから、「どうやったら商品を手にとってもらえるか」をいちばんに考えました。ポータークラシックの商品は1点1点が物語を感じさせるものなので、壁など背景には手を入れなくてもよかったですね。
最初に見たときはちょっと狭いかなと思ったのですが、映画のテクニックを生かすことで、豊かで広がりのある空間にできました。まさに「大人のためのファンタジー空間」ですよね。
商品も手に取りやすく配置 / ポータークラシック提供
𠮷田:仕上がりにはとても満足しています。本当は種田さんにやっていただけると聞いた瞬間から上の空でした。とても感謝をしております。
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