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満を辞してデビュー! 自身初のデニムブランド

藤原さんの所有するデニムアイテムは数知れず。しかも、先ほど紹介したGジャンやジーンズを含め、どれもが市場に解き放てば高値がつく稀少品ばかりである。

そんなデニム王が、今じっくりと向き合っているデニム。それは、昨年スタートさせた自身の肝入りブランドの一着だ。



この新ブランドのテーマは、“藤原さんが前のめりに選んだ、現代に蘇らせたいヴィンテージ33選”。

単に稀少なデニムを忠実に再現するのではなく、ここから新しいマニュアルを作っていこうという意志が込められている。

イメージソースとなるモデルに敬意を払うべく、現代風にいじったり、身幅やアームをガラッと変えることはしない。それもこれも現物を所有する藤原さんならではのアプローチだ。



「今まで何百着、何百本とヴィンテージを見てきた中での33選で展開していますが、実は“33”という数字は特に意味がないんですよ。とにかく厳選して選んだ結果、33着に落ち着きました。僕が日頃から身につけるのも、ニューマニュアルのアイテムがほとんどです」。



その中でも、特にヘビロテしている一着が、冒頭で紹介した’42年製ヴィンテージをベースにした製作したこちらのGジャンだ。



「リアルな現物を元に、その良さを実感しながら袖を通すべくサイズ調整を施しました。

脇の狭い部分を若干広げながら、自分が着ても違和感を覚えないよう改善。ヴィンテージを元に、改良ポイントは極力限定的にしながらも違和感なく着られるよう仕上げました」。



「ポイントとなるバックルは、もちろん『黒でやってほしい』と伝えました。しかも“Tバック”は、もともと袖がやや短めに作られているので、少し大きめに作ると今のトレンドにも馴染むんですよ。

“Tバック”をベースに作る際、ただ単純に背中へステッチを入れるだけだったら誰でもできる。そのさらに踏み込んだ構造にまでメスを入れることができるのも、稀少な現物を持っているからです。

ちゃんと歴史を紐解いてアイテムに落とし込むっていうところに意味があると思うんですよね」。



そんなこだわりのオリジナル“Tバック”を、藤原さんは今、どのように着こなしているのか。



「肌寒いシーズンであれば、中にカシミヤのニットを合わせてもいいですよね。今日は黒にしましたが、ベージュのチノでも全然いいと思います。冬はGジャンの上にダウンやコートを合わせるのもおすすめです」。



「もちろんセットアップも格好いいんですけど、セットアップが難しいと思う人は黒のコーデュロイを合わせてもらえたら合わせやすいと思いますし、野暮ったくも見えません。Gジャンの後ろをギュッと縛っちゃえば、バルーンっぽい形にもなって可愛く着こなせます」。
 

デニムを知り尽くした男が、自身の経験と知識を余すことなく落とし込んだ一着。デニム好きなオッサンにとって、これ以上惹かれるトップスはそうそうないだろう。

佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文

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