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2023.04.13

ファッション

42年製 幻の大戦モデルがソース。デニム王・藤原がヘビロテするGジャンの正体


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 特集「プロご指名の本命デニム」とは……

これまでに何百本、何百着とヴィンテージに触れてきた。そんな日本屈指のデニム王・藤原 裕さんが今、「もっともヘビロテしているデニム」とは何か。

気にならないワケがない。

藤原裕さん●ご存じ、古着屋の名店、ベルベルジンの御意見番。ヴィンテージシーンに身を投じて25年。これまで、数々の希少モデルに触れ、『教養としてのデニム』などヴィンテージデニムにまつわる書籍も執筆。Gジャンでは、背骨位置にステッチの入った、通称“Tバック”への知識においてもはや右に出るものはいない。

藤原 裕さん●超名店、ベルベルジンの御意見番。古着界に身を投じて25年。『教養としてのデニム』などヴィンテージデニムにまつわる書籍も執筆。Gジャンでは、背骨位置にステッチの入った、通称“Tバック”への知識においてもはや右に出るものはいない。


ベルベルジン藤原 裕さんといえばやっぱり“Tバック”

藤原さんの一軍デニムを紹介する前に、まずは“とある名作”について語らなければなるまい。



藤原さんといえば、背後へ縦にステッチを走らせたGジャン、通称“Tバック”が代名詞。そんな“Tバック”好きを唸らせたのが15年ほど前に購入したというこのヴィンテージだ。



「最初に見たときは背後のストラップのバックルがスモール針ですから、戦後の1947年製と推察したんです。ただ、その針が黒ずんでいるのが引っかかったんですよね」。





「調べていくと、プリーツのスクエアステッチの糸が細く色もオレンジ。大戦モデルはこの糸が太いですし、’47年モデルはほとんどがイエローなんです。じゃあ、これは一体なんなんだと……」。

この違和感はマニア心をさらに触発。そして、ある事実に行き着く。



「実はこの黒いバックル、1942年の大戦モデルのなかでも初期の頃に採用されていたみたいなんです。しかも、大戦モデルは生地がちょっと厚くて濃いというのが共通している。この生地、どう見ても大戦モデルと同じなんですよ。

とはいえ、’41〜’42年の間に戦争が始まったので、当時は資源不足でバックルもなくなっているはずなんです。どういうことかと思案していた矢先、実は、’42年8月まではバックルが付いていたことが分かったんです」。



「バックルが付いていて、生地が肉厚。そしてスモール針は黒。そのうえ隠しリベットは鉄製ということは、’42年8月までの’42年モデルなんです。

同時代のジーンズと照合しても条件が合致するのでおそらく間違いないでしょう。これほどの黒バックルのGジャンは、世界の市場を見渡しても本当に数が少ないんですよ」。



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