もっと多くの人にバンライフを知ってもらいたいと夢を語る宮本さん(東洋経済オンライン編集部撮影)
「(自分よりも)若い世代の人にも親しみが持てるように、ちょっとポップな感じにしました。私の動画などを見て共感してもらうことで、もっとバンライフのことを知り、参考にしてもらいたいと思って」
また、室内左側には上下2つの窓も設置した。下側は「シネマティックウインドウ」といって、映画に使われるシネマスコープの縦横比(21:9)を採用。自然の絶景ポイントを眺めるとき、映画館のスクリーンを見るような感じで見られるような工夫を施した。
上下に2つ並んだサイドウインドウ(東洋経済オンライン編集部撮影)
また、その上にある窓の大きさは、法隆寺の五重塔などに使われる「白銀比」を参考にした。白銀比とは、古くから日本人が用いている「美しいと感じる大きさの比率」のこと。
日本の寺院建築や仏像、絵画などに多く使われているという。宮本さんの愛車では、上下にある窓の大きさに白銀比を用いることで、窓全体を見たときに、落ち着いていて、きれいに感じられるように工夫したという。
「クルマ業界より、インテリア業界の流行りを意識した」という宮本さん。ちなみにベース車両を福祉車両にしたのも、もともとスライドドア上の車体左右に窓があったためだ。「室内に外からの光をできるだけ入れたかった」という理由で選んでいる。
DIYで作ったパーテーション(東洋経済オンライン編集部撮影)
ほかにも宮本さんの愛車では、リビングとキッチンの間に、開閉が可能な木製のパーテーションを設置。室内のキッチンより前方との間に仕切りを設けることで、よりくつろげるリビング空間を演出している。
なぜバンライフをはじめたのか
バンライフをはじめたきっかけを語る宮本さん(東洋経済オンライン編集部撮影)
宮本さんがキャンピングカーを自作し、バンライフをはじめたきっかけは、コロナ禍が関係している。
昭和女子大学の国際学部 国際学科で中国語を専攻する宮本さんは、大学のダブルディグリープログラムという制度で、昭和女子大学で3年間学んだあと、中国にある上海交通大学で2年間の留学生活を送るはずだった。
中国にわたり学びはじめた1年目、2020年1月に成人式で一時帰国した際にコロナ禍となり、中国に戻ることができなくなる。半年ほどは、東京の多摩地区にある実家でオンライン授業を受けていたが、楽しみにしていた留学生活ができなくなったことや、外出ができないストレスなどもあり、「密」を避けられるクルマの旅を思いつく。
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