利用者を6年で4倍に増やしたキャンプ場、十勝ポロシリキャンプフィールド。その秘密とは?
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。 コロナ禍の3密回避でキャンプが人気となって久しい。
ただキャンプを始めてみるとわかるのだが、人気のキャンプ場の予約は争奪戦である一方、いつ見ても閑散としているキャンプ場も中にはあり、どこのキャンプ場でもブームの恩恵を受けているとは言いがたい。
そうした中、人影まばらだったキャンプ場が、6年で利用客を約4倍に増やした。それも、場所は交通の便がいいとは言い難い北海道の地で――。
いったい、このキャンプ場はどんな方法で活性化したのだろうか。現地に行ってみた。
今年24回目の利用者が語ること
キャンプ中の家族
北海道の東部、帯広空港から車を走らせると、畑の中に防風林が並ぶ道東らしい風景が広がる。そのキャンプ場は帯広市街地から35㌔ほどの畑や林に囲まれた場所にあった。
筆者が訪れた時は週末ということもあり、テントサイトの区画すべてが埋まり、テントやタープを設営する人たちでにぎわっていた。今年24回目の利用という帯広市の会社員・正木雅さんは「今週はソロ(1人)キャンプ。来週は家族で来ます。その次の週はまたソロで。今月は毎週来ます」と話す。
正木さんはコロナ禍をきっかけにキャンプを始めた。子どもと一緒に出かける場所が制限された時に、このキャンプ場を知った。テントやタープ、焚火台など道具を少しずつそろえ、今はSNSでキャンプの様子を発信するほどはまっている。
道外からのリピーターもいる。2回目の来訪という広島の男性は、札幌出張の週末を利用し、仕事仲間と札幌から車で3時間半ほどかけて来た。「芝生がきれいで区画がゆったりとしているところが気に入っています」と語った。
このキャンプ場がオープンしたのは20年前の2002年。週末や夏休みは家族連れが利用するが、平日は静かなキャンプ場だった。
転機は2016年。キャンプ用品メーカーのスノーピークと帯広市がアウトドアのコンサルティングなどで連携協定を結んだ。同社がキャンプ場の指定管理者となり、市に代わって2017年度から運営をスタート。「民間のノウハウを生かし、帯広に観光客を呼び込みたいという狙いがありました」(帯広市の担当者)。
実際、帯広市が運営していた2016年と比べ、2022年の利用者数は約4倍に増えた。数年内には黒字化の見通しだ。
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