特集「プロご指名の本命デニム」とは…… 世界から賞賛を集める日本デニム。背景にあるのは、長年培われたヴィンテージへの飽くなき探究心だ。
ウエアハウス・藤木将己さんの話を聞けば、“求道者たちが求めたデニム is ベスト”という理論が成り立つことに気付かされる。
藤木将己●ヴィンテージデニムを背景に「究極の一本」を作り続けるウエアハウスにて、長きに渡りその魅力を発信している御意見番。
▶︎すべての画像を見る 原点は藤井フミヤの“ボロボロのGジャン”
ウエアハウスで広報などを担当する藤木さんは、デニム業界に身を置いて25年を数える大ベテラン。彼をその道へ誘ったのは、とあるラジオ番組だ。
「中学生の頃、『オールナイトニッポン』で藤井フミヤさんが『胸ポケットがふたつ付いたボロボロのGジャンをよく着ている』と語っていたんです。実際に彼がGジャンを着ている写真を見つけたとき、『こんなトップスターがこんなボロボロのGジャンに夢中になってるんや』と衝撃を受けました」。
そこからDCブランドのものも含め、いろいろと脇道に逸れはしたが、高校1年のときにようやく収まるところに収まったそうだ。
「修学旅行前に初めてリーバイスの“66”のシングル(※主に1973〜’76年頃まで製造されていたとされるモデル)を手に入れて、意気揚々とはいていったのを覚えています(笑)。それから年代モノにハマっていきました。ほどなくデニム業界で働き始めますが、それも自然な流れでしたね」。
シーンは渋カジ全盛期。稀少価値の高いデニムに誰しもが熱を上げた。
ただ、藤木さんは早くからデニムの製作現場に携わっていたこともあり、周囲とは違った視点でブームを眺めていたという。
「仕事柄、デニム史の変遷や製作背景に関しては普通の人以上に調べてきました。だからこそ、制作への興味も強かったんですよ。ヴィンテージの風情をいかに再現できるかっていう。
自社デニムの色味を落とすことにこれまでの人生は捧げてきたといっても過言ではありません(笑)」。
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