満充電での走行距離は561km(欧州仕様)。1740万円。
▶︎すべての画像を見る BMWから発売されたBEVのSUVであり、同社のハイパフォーマンスモデルである証しの“M”バッジが車体に光る「iX M60」。
持ち味の加速はもちろん、走りに合わせてスピーカーから発される走行サウンドなど、ドライブの楽しさを全身で体感できる車だ。
運転支援システムや会話で操作できるオペレーティングシステムなど、最先端のテクノロジーを標準装備している。
加速の中に上品さがある
2013年に発表されたBMWのサブブランド「i」。パワートレインの電動化に代表される次世代モビリティ全般を指すブランドとされてきましたが、直近はBEV専用という色合いが濃くなっています。
iXはBMWが目指すBEVのあり方を主にデザイン面で強く示した車です。賛否が分かれるだろうエクステリアはともあれ、インテリアはBEVのフラットな床を活かして、ほかのBMWとは一線を画するラウンジのような寛ぎ空間をつくり出しています。
そのiXに「M」という生粋のスポーツラインの称号が加わっているのがこのモデル。まぁ端的にいえば速い。前後モーターが繰り出す619psのパワーに加え、1100Nmという猛烈なトルクでもって、この巨体を0〜100km/h3.8秒で加速させてしまいます。
そして、劇的な速さの中にもBMWらしい高い品性や乗員への思いやりがある。なかには後ろから蹴倒されるようなバカ加速を自慢するBEVもありますが、iX M60は怒涛の推進力をアクセル操作ひとつでロールスロイスのようにしっとりと使い分けることも造作ではありません。
そんなシームレス感は足回りの味付けも然り。乗り手次第でいかようにでも振る舞える、その幅の広さにiX M60の真骨頂が見てとれます。
| 自動車ライター 渡辺敏史 出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。 |
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