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2022.12.14

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オートファジーとは?メリットや効果、具体的なスケジュールまで徹底解説!


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新たな健康法やダイエットのキーワードとして、ここ数年注目を浴びている「オートファジー」。

特別なギアやアイテムを必要とせず、またわざわざジムやスクールなどに通わなくてもいいこともあって、忙しいビジネスマンなどの健康法としても人気急騰中だ。

しかし、オートファジーの仕組みや効果効能について、本当に理解して取り入れている人は多くない。

改めてオートファジーについて学び、安全に無理なくダイエットなどに取り組んではいかがだろうか。


オートファジーとは?

今、世界的に注目が高まっているオートファジーについて、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長で、日本糖尿病学会専門医でありオートファジーの第一人者でもある青木 厚先生は次のように語っている。



青木 厚(あおきあつし)●あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長、医学博士、日本糖尿病学会専門医・指導医、日本内分泌学会専門医。専門の内分泌代謝の知識を生かして日本ではあまり認知されていない、栄養・代謝によるがん治療・がん予防をライフワークとしている。著書に『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム刊)。

「人体の古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる仕組みのことです。空腹が16時間続くと“オートファジー”が働きます。自食作用とも呼ばれており、壊れた細胞をお掃除してくれるんですよ。

不要なものを材料に新たなタンパク質を作って細胞がどんどん生まれ変わっていくので、肌つやもよくなりますし、体内からアンチエイジングの効果が得られます」。

食べない時間を増やすだけで、脂肪を燃やし、細胞が生まれ変わるので、願ったり叶ったりのオートファジー。実は2016年に東京工業大学の大隅良典教授がノーベル医学生理学賞を受け、世界的に注目された研究の成果なのだ。

オートファジーダイエットのメリット・効果

免疫力がアップする

体内の細胞がよみがえるおかげで免疫力がアップし、さらに胃腸に血液が集中しないために血流や血行が改選されるということがわかっている。また、自律神経などにも良い効果があるとも言われる。

腸内環境が整う

1日3食のスタイルの場合、胃や腸の中に前に食べた物が残留したまま、新たな食事をすることになる。そのせいで胃に大きな負担をかけることになってしまう(消化機能の低下)。

ところが、オートファジーのおかげで空腹の時間ができるため、胃や腸を休ませることができるのだ。つまり、消化機能の回復が期待できるのである。特に腸は、残留物が無くなることで腸内環境が良くなるというメリットも期待できる。


脂肪燃焼によるダイエット効果

最後に食べ物を口にしてから約10時間が経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなっていくと言われる。その代わりに脂肪を分解してエネルギーとして使用する。つまり脂肪燃焼=ダイエット効果が期待できるというわけだ。

美容・アンチエイジング効果

脂肪をエネルギーに変えたあと、さらに人体の古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせる作用もある。自食作用とも呼ばれる体内のメカニズムだが、言わば壊れた細胞をお掃除してくれるのである。

つまり、細胞がどんどん生まれ変わるおかげで肌つやが良くなり、体内からアンチエイジングの効果が得られるというわけだ。

体内の細胞がよみがえるおかげで免疫力がアップし、さらに血管にも良好な効果をもたらすことがわかっている。

がん細胞を排除してくれる

2022年8月、東京理科大学生命医科学研究所の昆 俊亮講師と明果瑠いるま氏らの研究グループが、がん変異細胞の排除にオートファジーが効果的であるという研究結果を発表。

これまではがんが進行した中・後期ではオートファジーががん細胞の生存・増殖を助長するのに対し、進行初期では抗腫瘍的に機能することが示唆されていた。

しかし、その機序についてはよくわかっていなかったために、研究グループはがんの超初期段階でがん変異細胞排除に重要な役割を果たす細胞競合に着目。細胞競合におけるオートファジーの役割について、詳細に解析を行った。

すると、オートファジーは細胞競合を介してがん変異細胞を排除することにより、体内の恒常性維持に寄与することが示唆されたのである。がん治療のための、今後のさらなる研究・活用に期待したい。
※引用:https://www.tus.ac.jp/today/archive/20220831_3608.html




オートファジーダイエットのデメリット

オートファジーはダイエット効果だけでなく、免疫力アップや自律神経の安定なども効果が期待できるとまさに良いことずくめ。

しかし、その一方でデメリットが無いわけではない。筋肉が落ちてしまったり、生活スタイルが変わることによるストレスが溜まったりといった負担を感じる人は少なくない。

また、そもそも断食をするため、慣れるまでは空腹が辛いということも見逃せない。


筋肉が落ちやすくなる

オートファジーは1日の食事回数(と量)を減らす、いわゆる断食の一種なので、栄養摂取量が低下するのは当然。栄養摂取量の低下、特に筋肉をカタチ作るタンパク質の現象が深刻な問題だ。

せっかく体内で新しい細胞を作る効果があるのに、タンパク質の現象によって筋肉を作ることが難しくなってしまうのだ。プロテインのサプリの効果的な摂取や、定期的な筋トレを合わせて行いたい。

普段以上の体調管理が必要

オートファジーが抱える「筋肉が落ちやすくなる」というデメリットを防ぐには、食事の量や質を含む適切な体調管理が行う必要がある。

空腹感を紛らわせストレスを軽減したり、タンパク質を効率よく摂取したり、また適度な筋肉トレーニングを行うといった体調管理を重要なのである。

慣れないと太ってしまうことがある

1日3食のスタイルを何年も続けてきた人にとっては、16時間も何も食べないというのはかなり辛いこと。その反動で断食を終えるといつもより余計に食べてしまう可能性がある。

すると、16時間の断食で消費したカロリーより摂取カロリーが上回るという結果に……。食べ過ぎを防ぐためには、食事前に温かい白湯やお茶などをカップ1杯飲むのといいと言われているので取り入れてみてほしい。


効果が出るまでどれくらいかかる?



オートファジーの効果は、空腹後16時間くらいで体内に出てくる。では、それを何日くらい続ければ、効果を実感できるのだろうか?

10日間で早くも効果を実感し、ウエストが2cm絞れたという人もいる。その一方で、半年続けても、体重もボディサイズも変化なし……という例もある。老若男女でも差はあるし、また体格・体質の違いもあるので、一概に「何日で効果が出る」と断言するのは難しい。

オートファジーの第一人者である青木 厚先生は、「大事なのは継続!」と明言。適切な方法でオートファジーを行い、それを地道に続けていれば、体調は良い方向へ変わっていくことは間違いない。


オートファジーダイエットのタイムスケジュール例

「朝の10時頃から夕方の18時頃までを、食事ができる時間帯」とするというのが、オートファジーダイエットの基本的なスケジュール。

しかし、仕事やライフスタイルによって、食事ができる時間帯(=8時間)の取り方が人によって違ってくる。

そこで「寝ている時間をいちばん含むスケジュール」「朝食を抜くスケジュール」「昼食を抜くスケジュール」の3つから、自分の行動に合わせて行うといいだろう。

寝ている時間をいちばん含むスケジュール



オートファジーは16時間の断食をどのように取るかで、1日のスケジュールが決まる。一般的には18時までに夕食を済ませ、それ以降は何も食べないで寝る。

翌朝の起床時刻は何時でもいいが、朝10時以降の遅めの朝食からその日の18時までは普通に食べてOK。断食時間帯の大半を睡眠に充てられるので、初心者には負担が少ないのが魅力だ。

あるいは、夕食が早い人もこのパターンがいいだろう。

朝食を抜く場合のスケジュール

初日の20時までに夕飯を食べ、それ以降は何も食べずに就寝。翌朝の朝食を食べずにお昼まで空腹をキープする。その日はお昼12時のランチから20時の夕食までは普通に食べてOK。

このパターンは「一般的なスケジュール」よりも、断食タイムをより遅めの時間(20時)にスタートできるが嬉しい。ただし、翌朝起きてからの朝食が無いので、お昼までの空腹タイムが辛いかもしれない。

仕事で夕食が遅くなりがちな人は、こちらのスケジュールが良いだろう。

昼食を抜く場合のスケジュール

初日の朝6時までに朝食を取り、以降はその日の22時まで断食タイムを続行。22時以降に遅い夕食を取り、そこから翌朝の6時までは普通に食べてOKだ。

しかし、このパターンは食べられる時間が極端な“夜型”なので、夜間に働いている人などに有効なスケジュールと言っていいだろう。

また、昼間の長い時間帯に空腹タイムがあるため、空腹を紛らすための工夫が必要となる。


どれくらいの頻度で行うべきか

オートファジーは毎日続けるのが理想だ。

しかし、仕事の都合などで「朝食抜きパターン」も「昼食抜きパターン」もスケジュールが合わせられないという人は、週イチペースからでもOK。

「たった1週間に1度でも効果があるの?」と心配するかもしれないが、週に1度でもオートファジーが活性化すると体内に溜まったダメージはリセットし、「効果なし」ということはないのでご安心あれ。


オートファジーダイエットのやり方



「16時間断食して8時間は普通に食べる」というパターンに乗っ取るのが、オートファジーダイエットの基本(そのパターンについては、先述の「寝ている時間をいちばん含むスケジュール」「朝食抜きのスケジュール」「昼食抜きのスケジュール」を参照)。

16時間の空腹タイムではなるべく何も食べないようにして、どうしても我慢できなければナッツやヨーグルトを少量ずつ食べて空腹を紛らわそう。普通に食べて良い8時間では、空腹の反動でつい食べ過ぎてしまうので要注意。

ダイエットのためには、1日2000kcalに押さえることが重要だ。また、オートファジーと並行して、適度な運動(筋肉トレーニング)を行うと、よりダイエット効果が期待できる。

可能であれば適度な運動を行う

16時間の断食をすることで脂肪が燃焼され、そしてオートファジー効果で体内の古くなった細胞が生まれ変わる。

オートファジーの第一人者である青木 厚先生は「オートファジーだけでダイエットとアンチエイジングのダブル効果が期待できます」と語っているが、その一方で「空腹時に適度な運動や筋トレを取り入れることで、動かした局所のオートファジーがより活性化します」とも言っている。

例えば、空腹時に何かしらの運動をするとオートファジーの活性化の効果が高まり、心筋細胞(心臓の細胞)が刷新されて、心臓機能が改善されたという報告もあるのだ。

空腹時間帯に約20分ほどのスクワットやプッシュアップを行うと(週2回ほどでもOK)、局所=大胸筋や太もものオートファジーが促進する。また、全身運動を行えば、局所ではなく全身のオートファジーが活性化すると言われる。

食べていい時間に好きなものを食べる



オートファジーが他のダイエット方法と比べて長続きする理由として、“空腹タイムではない”8時間内なら普通に食事をしても良いことが挙げられる。

カロリー制限や糖質制限のようなダイエットは、厳しい我慢を強いられるので辛い日々が続く。そして、「食べたい」という欲求がいずれどこかで爆発してしまう。それが食べ過ぎによるリバウンドを引き起こしてしまうのだ。

ところがオートファジーのスケジュールならば、決まった時間になれば好きなものを自由に食べていいので(ある程度の節制は必要)、ストレスが極めて弱いのである。

長続きさせるためにも、「8時間内なら好きなものを食べる」というルールを守ろう!


オートファジーダイエット中の食事について

16時間の空腹時間帯では、どうしても空腹が辛いときに“空腹を紛らわすため”のレスキュー的な食べ物を用意するといいだろう。

そして、“食べてもいい時間帯”の食事では基本的に好きなものを自由に食べてもいいのだが、筋肉量を落とさないためにも良質なタンパク質を含んだ食材を食べるようにしたい。

また、食べ過ぎを防ぐために、食事のいちばん最初に暖かい飲み物を飲むことを習慣づけるといいだろう。

食べていいもの



前述のとおり、ナッツ類やヨーグルトがお薦め(あくまでも空腹を紛らわすために少量)だが、意外とナッツはカロリーが高めなのでローカロリーなチーズなどに変えても良い。グレープフルーツのような糖質が少ない果物や、葉物野菜のスムージーもOK。

また、食べてOKな時間の食事の際も、鶏肉(脂肪が少ない胸肉やササミ)や卵などの良質なタンパク質を多く含んだ食材を積極的に食べたい。

豆腐や納豆もタンパク質を含むうえ、腸内環境を整える効果もあるのでお薦めだ。

>ナッツ
ナッツはいろいろな栄養素が入っているスーパーフード。特にナッツに含まれる不飽和脂肪酸は血中の中性脂肪やコレステロール値を下げたり、悪玉コレステロールを減らしたりする効果があるため、空腹タイムに食べる物としては最適なのだ。

しかも嬉しいことに、1粒ずつつまめるというメリットもある。あくまでも食べるのではなく、“つまむ”という意識が大事。塩分を含んでいない素焼きのナッツを常備しておくといいだろう。


>ヨーグルト
ヨーグルトもナッツに並んで、空腹タイムのレスキュー食に最適なメニューだ。タンパク質などの身体に必要な栄養を補給できるうえ、腸内環境を整えるのに有効なビフィズス菌も摂取できることも嬉しい。

冷蔵庫に“ノンシュガー”のヨーグルトを常備しておくといいだろう。

食べてはいけないもの



“食べてもいい時間帯”では、基本的に何を食べてもOK。しかし、決して暴飲暴食をしてはいけない。

暴飲暴食とまでいかなくても、空腹の時間が長かった分、その反動で食べ過ぎてしまうので、あくまでもいつも通りの食事を心がけたい。

その中でも避けたほうがいいのは、脂質と糖質だ。脂分の多い肉や甘いお菓子などは、特にオートファジーダイエットを試みている人はNGだ。

また、お酒の飲み過ぎにも注意したい。アルコールを摂取し過ぎると他の栄養素の代謝を妨げてしまい、内臓脂肪の蓄積の原因となるからだ。

飲んでいいもの

水は積極的に飲みたい。オートファジーを効果的に行なっていると、おのずと食事量が減るため、それに伴って水分の摂取も減ってしまう。

なので、自分自身が「水分不足」であることを常に意識し、水を積極的に飲むように心がけるようにしたい。また、果物と野菜、ヨーグルトで作ったスムージーは水分補給と同時にビタミンや食物繊維を摂れるので、定期的に飲むのもお薦めだ。

空腹感を抑える効果があるお茶とコーヒーも効果的。特にコーヒーは体内の老廃物を排出するデトックス効果(利尿作用)があるので、水と併用しながら飲むといいだろう。

>水・炭酸水
水はノンカロリーなので、ダイエット中の人には特に最適。身体を温め代謝を促すために、白湯もお薦めだ。

また、炭酸水はシュワシュワ感が気分を爽快にさせ、しかも空腹感を紛らわすことができるのが魅力。ただしノンシュガーは必須だ。

どちらにしても1回で80ml前後と、こまめに飲むようにして、トータルで1日1.5〜2L摂取するのが理想である。

>コーヒー


コーヒーは体内の余分な水分や老廃物を排出するデトックス効果(利尿作用)がある。

また、食欲を抑える効果があるので、オートファジーでは積極的に飲むといいだろう。ただし、砂糖抜きであること! カロリーを抑える意味では、ミルクも無しのブラックコーヒーが理想だ。

>フレッシュジュース
水分と同時にビタミンや食物繊維も補給できるうえ、空腹感を紛らわしてくれるフレッシュシュースは、オートファジーには最適だ。

ただし、市販のジュースは意外と砂糖が入っているので、できれば自分で作ったフレッシュジュースを飲みたい。

それもグレープフルーツのように糖質の少ない果物を選び、葉物野菜と一緒にミキサー&ジューサーで作るといいだろう。


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