スマホから目を離せばSTAY YOUNG!?
「FaceApp」で加工した自身の顔をプリントしたクッションから、ぺ・ヨンジュンの似顔絵まで。面白さの基準は加賀美自身も「説明が難しい」。
「例えば子供の言葉は面白いですよね。娘は今小学校6年生ですが、やっぱり面白い。娘の言葉を忘れないよう日々メモしています。アーティストでいながらこんなことを言っていいのかわかりませんが、美術館に行くよりずっと面白いんですよ」。
作品のインスピレーションの源は? という問いに、加賀美はこう答えてくれた。なぜ面白いのか。それは「狙っていないから」だという。
同じレベルで、道に落ちているゴミなどにもインスピレーションを受けることがあるのだとか。車に轢かれて妙な形に潰れた空き缶やステンレスの灰皿。意図的ではないからこそ面白いのだと。
「もちろん普通の人から見たらただの汚いゴミですが(笑)。美術館にしても映画館にしても、“用意されたものを見に行く”という行為に興味が湧かないんです。今思うと子供の頃からそんな感じで、“何かを見る位置や距離”が人と違うのかも」。
加賀美の話を聞いていると、アーティストという人種に対する先入観がどんどん払拭されていく。作品の種は、遠い外国や刺激的なイベントの中にあるわけじゃない。些細な暮らしの中にひそんでいるのだ。
さすがに作品は真似できないが、我々も日々の暮らしの中に面白さを見いだしたい。どうすればいいかたずねると少し考えて、「周りを見ることじゃないでしょうか」と答えてくれた。
電車の中や昼食時、スマホから目を離して周りを見渡してみる。それだけでバッチリです。そこに広がる風景の中に、何かしら思いがけない発見があるはず。ハートのSTAY YOUNGに特別な処方箋は必要ないのである。
3/3