そんな亜也さんを推薦してくれたのは、広報担当の棟近美南さん。
談笑する2人。
御社の看板娘、いかがでしょうか。
「仕事に対して本当に熱心なんです。たとえば、テレビ番組の撮影があるときは事前に台本に目を通して、巡る予定の飲食店に実際に足を運ぶこともあります。ガイドとしても素晴らしくて、現在は後輩を教えるトレーナーという業務も担当中です」。
亜也さんにお勧めのコースを聞いたところ、さすがプロ、ものすごい知識量だった。
「日光東照宮を起点に中禅寺湖や戦場ヶ原など、歴史や伝説がたくさん残る場所を巡るコースは個人的にも大好きです。四季折々で景色も変化しますし、ガイドをしていてもお客様のテンションが上がって行く様子が手に取るようにわかるんです」。
徳川家康が眠る日光東照宮。
「日本三名瀑である華厳の滝は、年間を通して水量が安定しています。理由は中禅寺湖から大尻川が流れ出て、その先に中禅寺ダムがあるからなんです」。
どの時期に見ても美しく、優美な滝。
「車窓景色としては、すごくマニアックなんですが、東北道下り線を走り、県境の利根川を渡るときに、天候がいいと関東の山がほぼ全部見えるんです。筑波山、日光連山、赤城山、榛名山、浅間山、妙義山、荒船山、それをガイドするとお客様も喜んでくれますね」。
また、奇跡的な邂逅もあった。専門学校時代はファストフード店でアルバイトをしていたが、当時お世話になったエリアマネージャーが偶然乗車してきたのだ。
「朝、新宿駅で名簿を見ながらお客様にご乗車いただいていたとき、そのエリアマネージャーと同姓同名の方がいらっしゃったんです。風貌や表情も似ているので、最初のサービスエリアで勇気を出して話しかけてみました」。
答えは正解。相手は一瞬わからなかったようだが、店舗名と当時の様子を伝えると思い出してくれたという。
長野県 御射鹿池と親湯に行くコースにて記念撮影。
「はとバスから内定が出たたときも、『おめでとう! 今度乗りに行くね』という軽い約束が最後の会話だったので、あの出会いは本当に嬉しかったですね」。
家族も乗りに来てくれた。はとバスのガイドとして勤務して、初めて家族を乗せることができたという記念すべき1枚も撮影。
左から、叔母、祖父、祖母、母、ドライバー。
かなり多忙な亜也さんだが、息抜きは家や外で飲むお酒。なかでもお気に入りはスコッチウイスキーのラフロイグだそうだ。
「ラフロイグの、あの正露丸のようなピート臭がたまらなく好きなんです。醸造酒より蒸留酒のほうが体に合うみたいで。疲れたときの最高のご褒美は、ラフロイグのソーダ割を飲みながらブルーチーズを食べることです」。
家に常備している“ご褒美”。
平和の象徴の名を冠した観光バス会社では、もうひとつの奇跡も起きている。
つい先日のこと、ドライバーが空から落ちて来た風船を拾う。これが三重県の幼稚園児らが飛ばした朝顔の種とメッセージ付きの風船だったのだ。
ドライバーが幼稚園に受け取った旨を記した手紙を送ったところ、すぐに園児からお礼の手紙が届いた。
「はとバスの運転手さんへ」「風船を見つけてくれてありがとう」。
別の場所には社員による「私の安全宣言」というコーナーがあった。
亜也さんの宣言は「何事もしつこいほどに要確認」。
12月のおすすめツアーも教えてもらった。
「たくさんありますが、時期的には『六本木・けやき坂イルミネーション&浅草ビューホテル「武蔵」のブッフェ』、『"熔岩焼き"で食すサーロインステーキとさがみ湖イルミリオン』、『とちおとめいちご狩りとあしかがフラワーパーク』などが楽しいと思います」。
詳しくは公式サイトをチェック。
では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
ガイドの解説が車窓の風景を引き立てるのだ。
[取材協力]はとバスwww.hatobus.tokyo