スマホの情報ではなく 目の前の子どもを見て
実は私自身も、4人の子育てを経験してきました。娘が二人、息子が二人。今では一番上が24歳、一番下が中学一年生になりました。子どもたちが小さい頃はフリーのカウンセラーでしたから、ある程度時間の融通もきき、子どもとたくさん一緒に過ごすことができました。
なかでも私の大好きな時間は寝かしつけでした。絵本もたくさん読みましたが、寝かしつけで絵本を読むときの欠点は明るくないと読めないこと。絵本を1、2冊読んだら電気を消して、昔話を素話でしたり、子どもたちを主役にしてオリジナルのお話を作って聞かせたりしました。私の方が先に寝てしまって、「おとーさん、それからどうしたの?」と起こされることもよくありました。
子育てでしんどいこともあったと思うのですが、今ではあまり記憶がありません。妻に聞いたら、「しょっちゅうイライラしてたわよ」なんて言われるかもしれませんが、通り過ぎると本当にあの時代は宝物です。
子どもたちはどんどん大きくなって、思春期を迎え、大人になっていく。可愛がっていた子どもから「大っ嫌い」と言われたり、わらべうたの動画を一緒に撮ってくれていた娘から、突然「わらべうたなんか全然面白くないからもうやらない」と断られたり。自我が育っている証拠ですから喜ばしいことなのですが、私はずいぶん傷つきました(笑)。
わらべうたを実践していると、そこには子育ての表と裏がしっかり出てくるんです。「ぼうず ぼうず かわいときゃ かわいけど にくいときゃ ぺしょん」。たたいていいわけではありませんが、「ぺしょん」なのです。子育ての裏の部分もこのように語り継がれてきたんですね。
子育ても人間も、光があれば暗い部分もある。それも含めて、通り過ぎると宝物になる。どんな子どもも必ず成長します。スマホの情報ではなく目の前の子どもを見てほしい。みんな宝物のような存在です。そこに目を向けられたら、子どもって素敵だなあと感じられると思います。