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2022.11.24

からだ

白髪は“黒いシャンプー”で治せるってホント? 毛髪診断士に聞く、最新の「白髪ケア事情」

©️OlafSpeier/iStock

©️OlafSpeier/iStock


ふと鏡を見ると、きらりと輝く一筋の髪の毛。加齢とともに存在感を増してくるのが白髪だ。

白髪の有無で若々しさは変わってくる。抜くのか、染めるのか、そもそも予防することはできないのか。白髪のメカニズムや最新事情を毛髪診断士の伊熊奈美さんに聞いた。

話を聞いたのはこの人!伊熊奈美●毛髪診断士認定指導講師。美容エディター、ライターとして『朝日新聞 土曜版』や『美的GRAND web』などで連載。主な著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理!』(グラフィック社)など。

伊熊奈美●毛髪診断士®️認定指導講師。美容エディター、ライターとして『朝日新聞 土曜版』や『LEE web』『美的GRAND web』などで連載。主な著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理!』(グラフィック社)など。

「ストレスが多いと白髪になる」はホント

©️makotomo/iStock

©️makotomo/iStock


――年々、白髪が増えてきていると感じます。何歳ぐらいから白髪は出るものですか?

平均的に35歳で2人に1人が白髪が出ると言われています。
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――なぜ歳をとるとともに白髪が増えるのでしょう?

まず髪の毛は、もともとは白いものなんです。メラニンという言葉を聞いたことがあると思います。メラノサイトという工場で作られる色素で、日焼けして肌が黒くなるのも、このメラニンが理由です。

同じように髪が黒いのは、このメラニンのおかげ。メラノサイトで作られたメラニンが新しく生まれた毛髪内へと送り込まれ、白い髪の毛を染めている。

ところがメラノサイトの働きが低下したり、メラノサイトの元となる色素幹細胞が枯渇すると、メラニンが供給されなくなるので、白いままの毛が生えてしまう。これが白髪です。

毛母細胞でメラニンによって髪が黒く染められている。出典:『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)

毛髪を生み出す毛母にはメラノサイト(色素細胞)が存在し、メラニンを供給するため、髪を黒く染めている。出典:『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理!』(グラフィック社)


――原因はわかっているのでしょうか?

すべては解明されていませんが、加齢、食生活の乱れによる栄養不足、紫外線、血流の悪さ、遺伝などの要因があります。またストレスも要注意です。

――ストレスとは、仕事の忙しさや人間関係がうまくいっていないことが関係しますか?

もちろんそういった精神的なストレスもありますが、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることも見逃せません。バランスが崩れる要因はいくつかありますが、PCやスマホもそのひとつ。ベッドの中でスマホを見ていて、いつまでも眠れないとか、そういうこともストレスになり、白髪につながります。

ストレスが多いと白髪になるという科学的な裏付けも昨年あたりから立て続けに発表されていて、先ほど35歳の2人に1人が白髪が出ると言いましたが、最近のリサーチやデータを見ると、少し早まってきているという報告もあります。
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白髪を防ぐ4つの方法とは?



――PCやスマホが影響している可能性があるということですね。となると、白髪は単純に老化のサインというわけではないということですか?


そうです。20〜30代の若白髪の人は、ストレスを排除して、正しい生活に戻すなど、きちんとケアをすれば改善されることもあります。

――同じ白髪でも黒髪に戻せるものがあるんですね。どういうことを心がければいいでしょう?

主に4つのことを意識してみてください。
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① バランスの良い食生活



男性は加工食品や高脂質食を好みがちです。プロテインやエナジードリンク、サプリばかりを摂って栄養補給をしようとする人もいますが、それよりも普段の食事でバランスよく食べることを基本としてください

髪の材料となるタンパク質、細胞を活発にするために欠かせない亜鉛、血液の材料となる鉄分はもちろん大切ですが、いろいろな食材を満遍なくとるようにしましょう。

② 紫外線ケア

紫外線を浴びると活性酸素が過剰に発生して、メラノサイトの大元である色素幹細胞を攻撃するので、メラノサイト自体を生み出せなくなってしまいます。また頭皮や皮脂の酸化にもつながるので、屋外に出る際は帽子を被るなど、物理的にブロックしましょう。

また、最近は飲む日焼け止めサプリもありますので、外で行動することが多い人やアウトドアスポーツをする人は、取り入れるといいでしょう。

③ 自律神経を整える

適度な運動や、十分な睡眠、規則正しい食生活などで、自律神経を整えて、身体的なストレスを減らしましょう。昼夜逆転の生活や、夜いつまでもPCやスマホを見るのもなるべく避けましょう。

④ 正しい洗い方で血行を良くする

実はとても重要なのが髪の洗い方です。血流が悪いと白髪はもちろん薄毛の要因になりますので、シャンプー時に頭皮マッサージするのがおすすめです。正しい方法をお教えします。
 
[STEP1]予洗いをする

普通にシャワーをあてるだけだと、頭皮が濡れていない場合があります。シャワーヘッドを手に持ち、頭皮に押しつけるようにして、頭皮をしっかりと湿らせてください。

[STEP2]少量のシャンプーで頭皮を洗う

頭皮がしっかりと濡れているので、少量のシャンプーでも十分泡立ちます。適量を手に取り、軽く水でのばして泡立てたら、後頭部、側頭部、頭頂部と順に両手を押し当てて、頭部全体にシャンプーを行き渡らせます。



軽く指を立てて、両脇から指をジグザグと動かしながら、センターに向けて動かしていき、真ん中(正中線)で指を組みます。

そのまま髪を少し上の方に持ち上げたら指の間の髪を毛先へと動かして抜きます。これを後頭部から前頭部に向けて、順番に行っています。これだけで頭がポカポカし、血流が良くなるのがわかります。

シャンプーは髪を洗うのではなく、頭皮を洗うものとイメージしておきましょう。

[STEP3]しっかりとすすぐ

これができていない人はかなり多いです。シャンプーが残っていると頭皮が乾燥して、フケの元にもなります。予洗いと同じようにシャワーヘッドを手に取り、頭皮に押し当てるようにして、しっかりとすすいでください。

特に生え際や後頭部、えり足などに泡を残しがち。シャンプーの倍の時間をかけるぐらい、しっかりとすすぐのがポイントです。

[STEP4]トリートメントやコンディショナーで髪をケア

シャンプーは頭皮を洗うものと言いましたが、逆にトリートメントやコンディショナーは髪の毛をケアするもの。成分的に頭皮に良いものもありますが、基本的には髪の毛だけにつけるようにしましょう。

 [STEP5]なるべく早く乾かす

タオルドライをしたら、なるべく早くドライヤーで乾かしましょう。後頭部の方から前側に向かって、根元を乾かすイメージでドライヤーをかけます。最後に上からかけて、手櫛で整えると髪にツヤが出ます。

ヘマチン入りの「黒いシャンプー」を選ぶべし

――洗い方にもコツがあるとは初耳でした。シャンプーの選び方にもポイントはありますか?

注目の成分はヘマチンです。ヘマチンは何かと結びつこうとする性質を持っているのですが、髪の8割を占めるケラチンタンパク質はとても相性が良く、結合しやすいのです。これによって髪にハリが出て、元気な髪を目指せます

ヘマチンは黒いのも特徴。

ヘマチンは色が黒いのも特徴。


ヘアサロンの現場ではパーマやカラーの後、毛髪の状態を整えるために長年使われてきた成分なのですが、いい成分だけに高価でもあって、なかなか一般のシャンプーに配合するのが難しいものでした。ところが最近はこの成分のメリットに注目が集まり、いろいろなヘアケアに使われています。

白髪予防をしたい人には特におすすめです。
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