ビームスのメンズカジュアルのバイヤーを務める
梨本大介さん。
ビームス随一のアウトドア好きとして知られる彼は、一体どんなA面(Active面)とB面(BEAMS面)を 持っているのだろうか?
Let's パパラッチ!
A面 屋久島に魅せられて、二拠点生活を実現!
梨本大介(なしもと・だいすけ)●東京昭島市生まれ。19歳よりビームス東京でアルバイトを開始し、その後正式に入社。2003年、“大人の鞄”をテーマにしたB印ヨシダの立ち上げに参画し、以後ディレクションに携わる。2019年、ビームスカジュアルのバイヤーに就任。アウトドアマスターとして知られる二児の父。
個性豊かな人材の宝庫であるビームスにおいても、梨本さんは唯一無二のライフスタイルを実現した人だ。なんと、東京でビームスバイヤーをしながら、屋久島に家を建てて二拠点生活を実現したのだから。
もともと山や自然、そしてひとり旅が好きだったという梨本さん。ビームスに入社してからも、八ヶ岳や日本アルプスといった標高3000mクラスの山々にはよく登っていた。
「アイゼンやピッケルが必要な冬山にも、好んでトライしていましたね。危険なこともありますが、僕はギリギリに追い込まれる感覚が好きみたいです」。
まさにアクティブなアウトドア派。海外も行ってみたい場所には、これまでフットワークよく足を運んできた。屋久島に魅せられたのも、世界に対する強い好奇心がきっかけだった。
屋久島の観光名所としても知られる“千尋(せんぴろ)の滝”。
「中東やアジアが好きで、よくひとりで世界遺産を目指して旅をしましたね。日本の歴史的遺産も知らなくてはと思って、屋久島に行ってみたら、その魅力に取り憑かれてしまったんですよ」。
20年ほど前に屋久島を始めて訪れ、気候や食べ物はもちろん、島の持つ恵まれた環境すべてに圧倒されたという。
屋久島に建てたマイホームの外観。家族・友人と撮影。
梨本さんは「いつか島に住みたい」と、思い切って土地を購入。それから10年ほど更地にしたままだったが、家族ができたタイミングで屋久島に一軒家を建てた。
温かみのある梨本邸の内装。薪ストーブも完備。
家を建てると決めてからも、あらゆる手続きに時間がかかり、結局すべてが完了するまで5年ほどを費やした。
「屋久島の地杉を使い、家の外壁にもこだわりたくて、杉の外側をバーナーで焼いて炭化させた“焼き杉”を使いました。そうすることで海風や湿気に強くなるんですよ。出来るだけ天然素材を使い、屋久島の自然に馴染む居心地のいい家を建てました」。
屋久島の周辺は海がすぐに深くなるため、釣りがしやすく豊富な種類の魚が釣れる。
こうしてスタートした二拠点生活だが、東京と屋久島の距離は約1500km。梨本さんは、どうこの生活を実現させているのだろうか?
「今は屋久島に家族で帰るのは、主に子供の学校が休みになる春と夏、あと正月です。ひとりでフラッと行くときもありますよ。全部含めると年5〜6回は滞在時期がありますね」。
距離は離れているものの、行き来は意外と難しくない。早朝に東京を出発し、飛行機と高速船を乗り継げば、その日の午後に屋久島で釣りを楽しむことも可能だ。
子供にとって、島はどこに行ってもアドベンチャーが楽しめる楽園だ。
家族で東京から屋久島に“帰る”ときは、いつも2週間程度は滞在する。その間は、まさに楽園にいるような毎日を過ごす。
「屋久島は東西南北で気候が違います。山も海も川もあるので、その日のコンディションに合わせて、『山に登ろうか』『今日は釣りをしよう』とか『午後から温泉に行こう』とか、楽しみがたくさんあって飽きませんね。
海で釣ったアオリイカを庭で炙ったり、地元の鹿肉を焼いて食べたりと、家族にもいろいろな経験をさせることができています」。
屋久島産のいも焼酎「三岳」は、梨本さんのお気に入り。趣味の登山の際にも持参するという。
自宅からドライブがてら少し走ると、樹齢1000年クラスの杉や巨大な滝があるなど、都会では考えられない壮大なロケーションが広がっている。
二拠点生活を始めて数年経つが、滞在するたびに環境のもたらす恩恵を感じることばかりだ。
屋久島のシンボル、縄文杉。梨本さんのおすすめは、一泊して早朝に朝日を浴びた姿を拝むこと。
「屋久島の自然をありがたく感じられるのは、東京での便利すぎる生活があるからこそ。両方を体験することで、それぞれの魅力をより実感できている気がします」。
そんな屋久島ライフは、梨本さんの仕事のアイデアや活力にもつながっている。
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