ブランドのクリエイティブを物語るパーカコレクション
そこで先輩たちの服装や仕草、佇まいなどを徹底的に模倣し、彼らのコミュニティに踏み込んでいった池田さん。その中で、徐々にシュプリームの魅力にも取り憑かれていく。
「個人的にシュプリームのイメージは、『スケートブランドだけど、きちんとしたアメカジブランド』です。
サラッとロゴの入ったBDシャツやパーカを律儀に作っているし、基本的に質がいい。デザインだけでもカッコいいのに、甘んじることなくモノの良さを追求する“本物感”が魅力だと思います」。
さらに、「シュプリームは遊び心があるというか、その振り幅の広さも面白い」とも語る。
「カリスマスケーターたちが着ていたかと思えば、レディー・ガガやケイト・モスもボックスロゴを着ている。ラリー・クラークやクロエ・セヴィニーなど、シュプリームを通してカルチャー的な影響も相当受けましたね」。
“服オタ”ではなかった池田さんだが、シュプリームのウェアだけは「楽しい」「毎日着たい」という衝動に駆られた。今でもその思いは変わらない。最近のお気に入りのアイテムのひとつがパーカだ。
「とにかく形が好きですね。特にフードの立ち方が好みです。肉厚でいい生地を使っているんですよ。で、主流のボックスロゴと違って、今着ているこれはあえての手書きロゴ。こういうところもかわいいなと思います」。
池田さんのパーカコレクションはこれだけじゃない。
例えばこちら。
「これは昔、NYで買ったもので、クラブやフェスに着ていくことが多いですね。このパーカで踊り狂っていると、周りの人は『こいつ、分かってんな』って空気になる。ガネーシャは踊りの神様ですから(笑)。汗染みができるくらい着まくったけど、それでもなんだか手放せないんですよ」。
こちらの黒パーカは、ビルボードに初めて掲載したシュプリームの広告をプリントしたものだ。
「20周年のアニバーサリーアイテムだったと思います。昔の広告写真ではありますが、それをサラッと着てもサマになる。これこそブランドのクリエイティブの底力だし、世界を魅了するファクターのひとつだと思います」。
もちろん、池田さんが収集するシュプリーム・コレクションはパーカに限らない。このボトムスもそうだ。アメリカの人気ストリート誌とのコラボ作だが、制作の背景には思わずグッとくる逸話も。
「これは、スラッシャー・マガジンとシュプリームのコラボで、アメコミ風のオールパターンデザインがかなりパンチがありますよね。オフィシャルでは公表されていませんが、“スケシン(スケートシング)”さんがデザインに参画したとも言われています。
そういうのを聞くとやっぱり持っておきたいですよね。これまで何度もはいてますけど、いまだに現役です。全然ヘタレないし、やっぱりしっかり作っているんだなって改めて思います」。
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