04. ヴィブラムソールの機能について
創業のきっかけから、その価値は“安心”であったり“滑らない”ということかと思ったら、正しい理解は少し違うようだ。
ソールの部分ごとに役割を示したカタログ。
「ソールは必ずしも“滑らない”ことが正義とは言えません。グリップが効きすぎると安全ではないときもあるからです。
アウトソールに求められるのは必ずしも“滑らない”ことだけではない。どこで何をするのかによって、最適なバランスのコンパウンドを提案できます。
強いて言えば、あらゆる意味で“支える・支えられる”ということでしょうか。
靴全体のパフォーマンスの土台になっていますし、着用者の体重、やりたいこと、動き方など、すべてを支える“場所”としてパフォーマンスを誇るのがヴィブラムソールなのです」。
現在、とても多くのラインナップを誇るヴィブラムソールの価値と機能。それは、日常からエクストリームな環境まで、すべてのシーンでのパフォーマンスを支えてくれることなのだ。
05. ヴィブラム社の前身はセレクトショップだった!
創業者のヴィターレ・ブラマーニは25歳で結婚し、ミラノのヴィア デラ スピーガに店を構える。それは、スキー板や登山靴といった、山に関するギア類を扱うセレクトショップであった。
「山岳協会に属しながら山々をよく登っていたので、彼自身が情報の発信源にもなっていたのです。そうなると、店を開くのは必然だったのかもしれません。
その店はやがて山好きたちの溜まり場になっていき、結果的に、ヴィブラム社の設立やK2初登頂の一翼を担うことにもつながっていきます」。
世界屈指のソールメーカーの前身がまさか、山岳アクティビティのセレクトショップだったとは。驚きである。
06. プロトタイプ製作を支えたのは世界的タイヤメーカー
プロトタイプを再現したもの。それまではソールにメタル製のパーツを付けることでグリップ力を発揮していたが、その凹凸をラバーで表現したレプリカ。
ご存知の通りヴィブラム社のソールはラバーだが、同様にラバーを使ってビジネスをしていた人物との出会いが大きな転機となる。
ヴィターレは、イタリアを代表するタイヤメーカーのピレリで腕をふるっていた、同世代のレオポルト・ピレリのサポートを得ることに成功する。
「きっと彼はヴィターレのお店の常連客だったのでしょう。彼の協力を経てプロトタイプを製作。それが、のちのヴィブラムソール誕生の足がかりとなっていくのです」。
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