▶︎すべての画像を見る スニーカーも、ブーツも、革靴も。ソールを見ればよく目にする八角形のイエローロゴ。
そう「ヴィブラム(Vibram)」社のタグである。
付いているだけで何だかありがたみを感じるが、そのありがたみのワケを説明出来る人はいったい何人いる? 知っているようで知らないヴィブラムソールの効果、機能、誕生秘話etc.を、ヴィブラムジャパンの代表に聞いてみた。
話を聞いた人 眞田くみ子●1996年にヴィブラム社のイタリア本社にて現地採用。入社後は生産に携わりながら、ソールのデザインに加え、語学力を活かし各国の商社との橋渡しも担う。そして、2012年に日本支社が設立されるとともに同社の代表に就任。
01. ヴィブラムが生まれたのはイタリアです
スニーカーやワークブーツなどでよく見ることから、ヴィブラムをアメリカの企業だと思っている人は多いかもしれない。しかし、正しくはイタリアだ。
「ヴィブラム社はイタリアのアウトソールメーカーです。アメリカの企業だと思われがちなのは、かつてアメリカのブーツに多く採用され、アウトソール単体ではなく完成された“靴”として日本へ輸入されたことによるのだと思います。
北米ファクトリーで生産される“ヴィブラムソール単体の国外輸出”を禁じていましたからね。しかし、靴として輸出するブランドは多かったのです。
こうして日本に入ってきたアメリカ製のワークブーツなどを通してヴィブラムソールに触れてきたからだと思います」(眞田さん ※以下口語すべて)。
02. ヴィブラム社を創業したのは木工職人だった
創業者の名前はヴィターレ・ブラマーニ。若干15歳にしてイタリアの山岳協会に登録し、ルートを開拓したり、ゲストのアテンドもしていた登山家だ。
「ヴィターレの父親は木工職人で、幼い頃は椅子やスキー板を作ってもらっていたようです。イタリアでは、職人は親の仕事を継承する風土が根づいていますから、彼自身も山での仕事と並行して木工装飾の学校の先生もしていました」。
ではなぜ、ソールを開発することになったのか? については次項にて。
03. 起業のきっかけは“ある悲劇”
イタリアのヴィブラム社の本社。奥に見えるはスイスの山々。
ヴィブラム社の創業は1937年。きっかけは、その2年前に起こった悲しい出来事である。
「ヴィターレがガイドを務めたメンバー7人と、スイスとイタリアの国境付近にある山へ出かけたときです。
今のようにGPSも正確に天気を知る術もありませんから、登山中、急に天候が変わり遭難。靴が凍ってしまって逃げるに逃げられず、結果、彼はなんとか生き延びたものの自分の眼前で多くの人を亡くす不幸に見舞われました。
そこで彼はアウトソールの開発を決意。ソールにラバーを採用するアイデアを思いつき、ヴィブラム社を設立するのです」。
2/6