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「マーオナ」とは、ハワイ語で「お腹いっぱい」という意味だ。栄養満点の地産野菜をサステナブルな技術で育てれば、慢性疾患に苦しむネイティブハワイアンや太平洋諸島の住民をはじめとする地元民の体も心も健康になると同時に、文化のつながりや企業家精神の起爆剤にもなる。3人はそう期待した。

とはいえ、実現には地道な草の根運動を要した。まず、荒れ地を耕地に変えるのに4年かかった。ボランティアたちが55トンものゴミを収集し、その大半をリサイクルに回したり堆肥化したりする。地元民もゴミの輸送や、ショベルカーやパワーショベルの寄付といった形で協力した。チャンさんは当時をこう振り返る。

「友人と私はあちこちから銅を拾い集めて数百ドルを得ました。初めての収入です。収入は機械への給油や、堆肥化できないゴミを捨てる大型容器の調達入に使いました」。

地域の協力や助成金を受けた3人はパンノキの木とタロイモを栽培しながら、堆肥手法の実験も進めた。

土地の一部は実験用のフードフォレストと果物の生殖質保管庫となり、後者はハワイ熱帯果実生産者協会が果物の種子や遺伝物質を保存・研究する貴重な資源として活用する。6年もの草の根運動が実を結び、2014年にマーオナ・コミュニティガーデンは正式に一般公開された。



その後、2016年には、ハワイ・ウル生産者組合(Hawaii ‘Ulu Producers Cooperative)と共同で堆肥化計画を立ち上げる。

米国では、バーミキャスト(ミミズを使って廃棄物を有機肥料化する方法)の仕組みを構築するのに1万ドル以上かかるため、チャンさんはインドの仕組みを取り入れた。40×4フィート(約12×1.2メートル)のビンに詰められた地表性ミミズが休みなく働き、数十トンもの食べ物や紙ゴミを有機肥料化する。

500ドルで作れるうえに、廃液も出なければ空気汚染も一切ない仕組みだ。「このミミズの力はすごいです。ゴミを食べたら、黄金を吐き出してくれるんですよ!」とチャンさんは話す。

コップ1杯分のバーミキャスト由来の堆肥を果樹の根元に振りかけると、堆肥成分が周辺の土壌に染み込み、木全体に行き渡る。堆肥化計画は大成功を収め、今ではバーミキャスト由来の堆肥をさまざまな学校や団体に無償で提供し、農家や野菜栽培者にも寄付できるようになった。

2021年には、アクアポニックス(※訳注 水産養殖〈「アクア」カルチュア〉と水耕栽培〈ハイドロ「ポニックス」〉の合成語)システムが完成し、3500ガロン(約1万3248リットル)の水槽内に4カ所の生育区域を設けた形へと拡張した。

この循環型システムでは、集水に送電網を使わず、太陽光・波力発電ポンプを採用しており、従来の土を使った農法よりも少ない水量と面積で植物と魚を同時に生育できる。

グッピーが泳ぐ隣で、オランダガラシやヨウサイなどの食用植物が元気に育っていく。グッピーは間もなく、もともとネイティブハワイアンが養殖していたサバヒーやボラなどの魚に入れ替える予定だ。


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