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言葉②「今の自分の役割、未来、先祖に対する役割を確認することで見えてくるものがある」



Q:長い時間軸で考える大切さという話を伺いましたが、ビジネスでは成果が次のモチベーションにつながることもあります。目の前の仕事にどのような意識で向き合えば良いでしょうか?

それはやっぱり積み重ねだと思いますね。この仕事をしていて、長い時間軸で生きていくと、楽しいこともいっぱいあるんです。

例えば、太宰府天満宮の横に、2005年に開館した九州国立博物館があるのですが、その設置は私の四代前のおじいさんが描いた夢で、代々の宮司がその夢を繋いできたんです。それと同じで、仕事は自分一人で既決しなくてもいいんです。

ビジネスマンもそうで、全部自分で解決しようとすると苦しくなると思うんですね。でも、今の自分があるのはやっぱり、繋がってるんだと。先祖とも繋がってるし、未来とも繋がっているんだって。だからこそ、未来のため繋がってきた命を預かってるんで、未来のためにどうやってちょっとプラスをするかですよね。



Q:「今」の結果や、自分自身の成果に執着し過ぎないことが大切だということですか?

博物館の夢も、先祖が作った夢なんですけど、みんなが同じ夢の松明を持って繋いできたから、結果的に私の時代に博物館ができたということじゃないかなと思うんですね。

ですから、なるべく時間スパン、時間軸っていうものを大切にして、今、自分が立つ位置、自分の役割、未来に対する役割、先祖に対する役割を確認することで見えてくるものがあるような気がしています。ですから、私のご奉仕の仕方と、今の宮司の奉仕の仕方は違うんですが、それでいいと思うんですね。



Q:感謝の気持ちを持ちながら、過去と未来が繋がる「今」をいかに真剣に考え、同時に楽しめるかが大切だということですね。

そう思いますね。私自身は、皆様をどうやって元気にするかということを徹底して考えてきました。

例えば(アーティストの)ニコライ・バーグマンさんと一緒に、個展を天満宮の境内でやったり、マリメッコの展覧会をやったり、劇をやったり、いろんな人が集って、それを包んでくれるのが神社じゃないかなと思ったんです。

だから、宮司というのは一番元気で、楽しいことを考えることが一番大切だと思いますね。



Q:それが、新しいものを取り入れてきた西高辻󠄀さんの基準になっているのですね。

そして、きちんと祈るものとして祭典や神事を続けていくことですね。伝統的な神事は、逆に古いしきたりのまま残すことが大切だと思っています。

この国を全体的に元気にしてきたのは、おまつりだったんじゃないかなと思うんです。日本中にあったおまつりの中で、過去と繋がり、神様と繋がり、人と繋がり、そのしきたりと繋がってきた。それが、コロナで全部無くなって、だんだん個人の社会になっている。

今、求められているのは、逆に、昔持っていた共同体とか、連帯感が必要だと思うんです。そうじゃないと、どんどん個人として寂しくなっていくような気がする。その連帯感の場所として、僕らはやれるかなと。

未来の神社の可能性として、地域の核となる病院みたいに人が集まって、神様を中心にみんなが楽しめる広場作りが大切じゃないかなと思っています。


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