男性はもともと鉄欠乏性貧血にはなりにくいため、貧血の結果が出た場合、血液のさまざまな病気が疑われる。
「胃や大腸など、消化器からの出血が疑われることもあります。実際、私は貧血が見つかった方から、胃がんが発見されたケースを経験しています」(今野さん)。
③心電図 心電図は脳梗塞や心臓病の原因となる心房細動をはじめ、さまざまな不整脈の発見ができる。「健診専門の医師であれば、動脈硬化の進行具合も心電図からチェックしてくれると思います。血圧が高めの人はぜひ受けてほしいです」と今野さん。
④血清クレアチニン検査 血清クレアチニン検査は腎臓の機能をみる検査で、老人保健法時代にあったものが2018年度からオプション検査として復活した項目。
近年、国民の10人に1人が発症しているとされるCKD(慢性腎臓病)は進行すると腎不全となり、人工透析などの腎代替療法が必要になる。CKDの最も多い原因は糖尿病。つまり、生活習慣が影響しているわけだ。
クレアチニンは体の老廃物の1つで、本来、血液の濾過によって尿の中に出てくる物質。これが基準値を超えて血液中に残っていれば、腎機能の低下が疑われる。
クレアチニンの基準値は、男性が0.65~1.09 mg/dl、女性は0.46~0.82 mg/dlだ。
そして、この血清クレアチニン値をもとに、1分間にどれだけの血液を濾過して尿を作れるかを示したものがeGFR(糸球体濾過量)だ。
「eGFR 45以下であればCKD(慢性腎臓病)の可能性が高くなります。ただし、CKDは年齢とともに少しずつ進行します。正常範囲であっても、毎年、しっかり確認し、低下のスピードが速くなってきたら、要注意。腎臓は高血圧や高血糖に弱いので、まずはこれらの改善に努めましょう」。
眼底検査の意外なメリットとは
最後になるが、40代以降であれば、ぜひ受けてほしいのが、「眼底検査」だと今野さんは言う。
⑤眼底検査 眼底検査は眼球の奥にある眼底の血管の状態を、眼底カメラなどの検査器具を使って観察する。実は眼底検査は目の病気を発見するだけでない、意外な“メリット”があるという。
「瞳の奥にある動脈は脳の血管からつながっており、『脳のきょうだい』と言われています。つまり、脳を見る代わりになる。眼底の血管が細くなったり、いびつになったり、出血が起こっていたりする場合、脳でも同じ状態が起こっていると考えられます」。
同じ程度の高血圧の人でも、眼底検査の結果により、脳卒中を起こすリスクがより高いかどうかが判定できるという。
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