生分解性素材への徹底したこだわり
ワイルドフラワー、つまり野生の花や野草を乾燥して作った中綿「フラワーダウン」を使ったダウンジャケット。秋冬に再販売の予定。参考商品/パンゲア https://pangaia.com
では具体的に、パンゲアが作り出してきたサステナブルな素材をいくつかピックアップしていこう。
まずはダウンの代替素材「フラワーダウン」に注目したい。なぜならこの素材にこそ、パンゲアが考えるサステナブルのエッセンスが集約されているからだ。
「ワイルドフラワーに、バイオポリマー(※1)とエアロゲル(※2)をミックスした素材」は、ダウン同様の暖かさと軽さ、通気性を兼ね備えている。開発の理由は実に明確だ。水鳥の羽毛は倫理的に使いたくない。
化学繊維の中綿は化石燃料資源を使用しており、非生分解性である。ならば新しいサステナブルなダウン素材を開発すべき、という思考なのである。
ちなみにこの「フラワーダウン」はH&Mが製品に採用。パンゲアでは開発した素材をBtoBで販売するビジネスも行っている。イノベーティブな素材をシェアすることは、業界全体の持続可能性と意識を高めていくことにつながるからだ。
ベーシックなデザインのデニムジャケットと、ストレートシルエットのデニム。ヒマラヤ地方の野生のイラクサとオーガニックコットンを使用する。製品は天然のペパーミントオイルで処理され、臭いの原因となるバクテリアの増殖を防止。洗濯の回数を抑え、水とエネルギーの使用量を軽減してくれるというわけだ。デニムジャケット275ドル、デニム225ドル/ともにパンゲア https://pangaia.com
続いてデニム。パンゲアの大きなミッションのひとつに「コットンからの脱却」がある。
オーシャンズでも何度か取り上げてきたが、コットンの連作は土壌への負荷がきわめて大きい。そこでより多様な植物由来の素材をブレンドし、コットンへの依存を減らそうと試みている。
例えばヒマラヤ地方に自生するイラクサ。手をかけずとも毎年自然に再生する、生命力の強い植物だ。このイラクサの繊維とオーガニックコットンを使用したデニムは耐久性に優れ、長く着用することができるのだ。
もちろん製造工程にも配慮がある。水と染料を節約する最先端の加工技術を確立。縫製糸には完全バイオベースのセルロース糸を使用。「着用頻度の高いアイテムだからこそ、イノベーティブな素材の開発が急がれる」という。
パイナップルやバナナの葉の繊維から作った「フルーツファイバー」や、植物の繊維を使った「プラントファイバー」は、Tシャツやパーカなどに使用。豊富なカラー展開は多様性の重要さを表現している。参考商品/パンゲア https://pangaia.com
このほかパイナップルの葉などを再利用した繊維「フルーツファイバー」、イラクサや竹、ユーカリなどを使用した繊維「プラントファイバー」などを独自に開発。こうした素材は前述のラボにて、日進月歩の研究が続けられている。
「3年先、5年先、10年先のパンゲアを定義するであろう、新たなサステナブル素材に取り組んでいます。また開発時に発生するメタンや二酸化炭素を、服の製造工程のエネルギーとして再利用するなど、素材以外の技術革新も進めています」。
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