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2022.07.08

ファッション

「ワクロス エッセンシャル」の和紙を使った服作り。熟練の技が持つ可能性

 

ワクロスの隠れた名品がこのソックス。紙、ナイロン、ポリエステルをミックスし、卓越した吸放湿性を発揮する。400人のモニターの実に98%がドライ感を知覚した逸品。トレイルランナーたちの愛用者も多いとか。各1320円/ワクロス エッセンシャル(MNインターファッション www.wacloth.com


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サステナブルかつ肌に優しい素材として、ウールやコットンといった天然繊維が再評価の兆しを見せている。

そんな状況のなか、近年注目を浴びている素材のひとつが紙。

そして、その紙の機能性を十分に引き出した服を作っているのが、ワクロス エッセンシャルである。

和紙から生まれた“紙糸”の機能性と可能性を追求

 

「チノ」のデザイナーの茅野誉之さんと協業で製作したニットパーカ。紙糸とオーガニックコットンを撚り合わせ、ドライなタッチを実現した。ボーダー柄の部分はシルクを使用し、カジュアルでありながらエレガントな雰囲気も醸し出す。「今後もこういったコラボレーションに積極的に取り組んでいきたいですね」(米﨑さん)。3万6300円/ワクロス エッセンシャル(MNインターファッション www.wacloth.com


紙はその製法から大きく洋紙と和紙に分かれる。パルプを乾燥して固めた、滑らかな手触りの紙が洋紙。一方コウゾやミツマタといった植物の繊維を原料とし、手作業もしくは機械による漉きの工程を経て生まれるのが和紙(※)だ。

ワクロス エッセンシャル(以下、ワクロス)の服に使われているのは和紙のほう。ワクロスを手掛けるMNインターファッションの米﨑尊路さんが、紙という素材のメリットを教えてくれる。

「吸放湿性に優れています。さらりとした感触で、いつでもドライな肌触りをキープしてくれる。また天然の消臭、抗菌作用があるので、長時間の着用で発生するいやな臭いを消してくれるんです」。

紫外線をカットし、素材自体が軽いから着心地も軽やか。つまり高温多湿な日本の夏にぴったりの素材なのだ。さらに耐久性も高いというから非の打ちどころがない。

ワクロスの紙糸の原料はもちろん紙。その紙の原料にはアバカ(マニラ麻)の葉鞘(茎を取り囲む筒状の組織)を使用している。

ワクロスの紙糸の原料はもちろん紙。その紙の原料にはアバカ(マニラ麻)の葉鞘(茎を取り囲む筒状の組織)を使用している。


では具体的に、紙という素材からどのようにして服が作られるのだろうか。

「まずは出来上がった紙を、特殊な機械で細かくスリット(裁断)します。次にその細い紙をって糸にする。さらにその後、用途に応じて他の繊維を合わせて糸を作っていきます。

これを私たちは“紙糸”と呼んでいます」(米﨑さん)。

紙糸の断面の拡大写真。表面積の大きい繊維組織が臭いを吸着。備長炭が臭いをとるのと同じ理屈だ。

紙糸の断面の拡大写真。表面積の大きい繊維組織が臭いを吸着。備長炭が臭いをとるのと同じ理屈だ。


紙とコットン、あるいは紙とポリエステル。作る服によって、さまざまな配合の紙糸を使い分けている。

例えば紙67%、綿33%で作ったTシャツは、シャリッとした風合いで優しい着心地。だが同じTシャツでも紙63%、ポリエステル37%のものはよりさらさらの肌触りに。

また配合の数字だけではなく、織り方や編み方によっても服の感触や風合いは変わるそうだ。紙糸の機能性と可能性の追求。それがワクロスのもの作りの核心である。


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