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2022.09.11

ルノーの新型ハイブリッド車「アルカナ」を、3名の専門家はどう評価したのか

「R.S. ライン E-TECH ハイブリッド」モデル429万円。

「R.S. ライン E-TECH ハイブリッド」モデル429万円。

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車内には十分な広さがありながら、フランス車らしいエレガントな佇まいを持つルノーの新型ハイブリッド車「アルカナ」。

魅力は「E-TECH ハイブリッド」と呼ばれる、ルノーがモータースポーツで培ったノウハウを活かしたフルハイブリッド技術だ。

F1仕込みのトランスミッションが、ダイレクトでシームレスな加速と効率のいいエネルギー伝達を可能にしてくれる。

レースカー由来の走りに驚く

車での長距離移動が多い欧州では、高速巡航の居住性や乗り心地といった快適性、荷物の積載性、そして燃費と、これらの要素が車に強く期待されます。バカンスには荷物を満載して南に向かうフランスなどは、その典型です。

しかし、ディーゼルが抱える諸問題の表面化からBEV普及の機運が高まるや、ガソリンエンジン搭載車の肩身は狭いものになっていました。

そこで、ディーゼルの代替として、ガソリンをベースに低燃費で走りも楽しめるハイブリッドが作れるのではないかと、ルノーが参戦するF1のテクノロジーまで引っ張り出して試行錯誤の末に編み出されたのがE-TECHハイブリッドです。それを搭載して上陸した初のモデルがこのアルカナなのです。

たとえばトヨタのハイブリッドと比べると、最大の差異はエンジンの回転に呼応する加速のダイレクト感でしょう。ここにまさにレースカー由来のロスがない駆動伝達技術が活きています。燃費は高速や郊外路、市街路を合わせて走ってみた感じでは20km/Lの大台も狙えそうなほど。

今まで欧州メーカーはハイブリッドが苦手と言われていましたが、こんな車が出てくるあたり、フランス車も奥が深いなと思わせられます。

自動車ライター
渡辺敏史

出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。




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