失敗① 資材の運搬に時間と労力をかけすぎた
何もかもが順風満帆というわけにはいかない。象徴的な失敗談が3つある。
「物件の状態は比較的良くて、ガス・電気・水道のライフラインも全部使えました。間取りは3LDK。ここを壊して、あそこも壊して、自分で自分の家をリフォームしようって決めたんです」。
対象は壁や天井や床、場所は風呂、キッチン、バスルームなど、ほぼ全部といっていい。
「手を入れたい場所を決めて、必要な資材を割り出して、神奈川県のホームセンターで材料は調達しました。自分の車に積めるだけ積んで、礼文島に向かったんです」。
自宅のある藤沢市から礼文島まで2泊3日、片道8万円近くかかる。
まず茨城県の大洗まで車を走らせ、大洗港から苫小牧港までフェリーで約18時間。さらに、苫小牧から稚内まで車で約360キロ、約7時間のドライブになる。さらに、稚内から礼文島まではフェリーで2時間だ。
日本最北の島までの車移動は気が遠くなるほど果てしない。
往復で約2700キロの行程だが、柏倉さんは資材の運搬のため2往復。今となっては、もっとうまい方法があったはずだと後悔を口にする。
「資材にこだわり始めると稚内のホームセンターにはないんですよ。でも今思うと、
資材の調達は北海道内でやるべきだし、できましたね。ハイエースをレンタルして北海道全域を回って調達すれば、
運搬費も労力も3分の1は削れたと思います(笑)」。
Amazonなども駆使したが、礼文島までの配達には資材の長さや重さに制限があった。札幌にもホームセンターは充実している。神奈川と礼文島をわざわざ車で2往復する必要はなかった、というのが柏倉さんの1つ目の反省だ。
教訓① 資材はできるだけ近場で調達すべし
失敗② 孤独なDIYにおけるケガを想定していなかった
大規模リフォームが始まり、自分の好きな空間を作るために畳や床を全部剥がし、ドアを壊して、押入れを壊して、キッチンも壊した。
「もともとの内装を壊しまくったので、大量の廃材が出たんです。予想していた3〜4倍の量になったかな。処分するために小さくしようと、廃材を足でバキバキに折ってたら、木片が顔を直撃したんです。痛てぇ!って目のあたりを押さえたら、血がぼたぼた流れていて……」。
これまでは神奈川の自宅の壁リフォームや、友人の書店の本棚を作ったりのDIY。大規模改修を独学でひとりで行った柏倉さん。
流血している自分にパニックを起こし、助けを求めて大声で叫ぶも風の音が強く、近所の人に届くことはなかった。
「2軒となりに住む元オーナー宅に駆け込みました。目がえぐれているような痛みで、これはただ事じゃないと思って……」。
「運良く、近所に設備の整った診療所があって、ケガの状態を診てもらいました。そしたら、鼻は骨折してて顔は血だらけでしたけど、特に手術は必要なく、自然治癒で治るレベル。
島で大怪我をしたら札幌までヘリ移送されるぞって、最悪のケースを想定しながら慎重に作業してたんですけどね。油断しました。
一人だと誰も止めてくれないじゃないですか。集中力が切れても、休憩を抜いても、無理をして続けてしまう。
助け合える仲間がいないDIYはリスクが高すぎますね。一人でやるのはおすすめしません」。
これが柏倉さんの2つ目の反省だ。
教訓② 危険性がどこにあるかよく想像しながら動くべし
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