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自分が手掛けたサービスで不眠に悩む人を減らしたい



睡眠のプロである道端に、誰でもすぐに真似できる良質な睡眠をとる習慣について訊いてみた。

「朝起きたらまず、陽射しを浴びて脳を覚醒させることです。窓を開けて外に出たり、カーテンを開けるだけでもOK。ありきたりな行動ですが、良眠を得るにはこれがすごく大事なことです。

というのも夜しっかりと寝るためには、朝に脳が覚醒していないとメラトニンの分泌が減り、睡眠リズムが乱れてしまうんです。あと、毎朝必ず少し熱めの風呂に入るようにしています。こうすることで交感神経が刺激され、より脳がしっかりと覚醒しますから。

また、寝るまでの数時間をかけて、室内の光量を変えていくっていうのもすぐに取り入れられるので、深く眠るのにおすすめです。自宅では、タイマーを使って徐々に暗くすることができる照明機器を使っています。

例えば23時に寝入ると設定するなら、20時くらいから3時間くらいかけて徐々に室内の光を落としていくんです。そうすると自然と眠くなります」。

その後も道端は、睡眠についてまじめかつ丁寧に説明してくれた。仕事柄ということもあるが、それを差し引いても睡眠に対するこだわりはかなり強い。その原体験は、幼少期にまで遡る。

「子供の頃、寝る前に“死にたくない”って思う瞬間があったんです。寝るときに目をつむってそのまま開かなかったらどうしよう、死ぬのが怖い、死って何だろうって。

これをどうにか解決することができたらなあって、ひたすら考えていたときがあったのですが、それが潜在意識の中にずっとあったのかもしれません。大学では理系に進んで生物学を学び、その後、予防医学がテーマに掲げてあった化粧品会社に入社しました。

僕が現在、睡眠を通して長生きできる方法を模索していることは、あのときの“死にたくない”と思ったことに起因しているのかもしれません」。

ONとOFFのメリハリをきっちりとつけるというよりも、プライベートでも仕事のことや、仕事に関わる何かについて常にぼんやりと考えているという。

そこまで仕事に没入できる原動力はいったい何なのか訊くと、これも過去の体験によるものだった。

「最初に入った会社で商品開発を担当したのですが、自分が手掛けた商品を店で買っている人がいたので、実際に話を聞かせてもらったことがあるんです。

そうしたらすごくありがたい感想をいただき、それがすごくうれしかったんです。今まで体験したこともない、何ものにも代えがたい感動と言いますか……。そういう声を聞くと「次はどうしてやろう」みたいな、開発意欲に火がつくんです。

もちろん、新たな事業に取り組んだり、ゼロから商品を生み出さなければならない生みの苦しみもありますが、そのうれしかった体験があるからこそやっていけていると思いますし、自分の仕事に対する原動力になっているのだと思います。

今後、自分が手掛けた商品やサービスで少しでも良質な睡眠をとる人が増えたり、不眠に悩む人が減ったらこれほどうれしいことはありません」。

何ものにも代えがたい世の中の役に立つという感動体験は、現在どハマリ中の“最高のルーティン”と自ら絶賛するサウナと比べてどちらが気持ちいいか訊くと、間髪入れず「サウナよりも感動体験のほうが気持ちいいです!」と、きっぱり。

そして、最後までまじめな人柄がちらり。

「あ、今思ったのですが、そうなると僕にとってのFUN-TIMEは仕事ということになってしまいますね……(笑)。このインタビュー、記事として成立しますか? 」。


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