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2022.10.02

ライフ

「BOOKNERD」早坂大輔さんに聞く、逃げるが恥ではないこれからの生き方について



当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら

今回のテーマとして掲げるのは「逃げる」。これまで日本では、物事を途中で投げ出したり逃げたりすることは後ろめたいものとされる風潮がありました。

しかし、ウェルビーイングなど、自分にとって本当に豊かな暮らしを見つめることが肯定されるようになってきた今、逃げることは恥ずかしいことではないという価値観へと移行してきたように感じます。

今回伺ったのは、人口が約30万人という岩手県盛岡市で、独立系書店 〈BOOKNERD(ブックナード)〉を営む早坂 大輔さん。未経験の書店経営に40代から挑戦するなど、ある意味「逃げる」かのように移住や起業などを実践し、新しい価値観の生き方をひと足先に実践されたように私たちの目に映りました。

逃げた先には、どんな風景が広がっているのか。仕事、場所、人間関係、お金というトピックに分けながら、お話を伺いました。

〈BOOKNERD〉の店内には貴重な古書やリトルプレスも並べられている。

〈BOOKNERD〉の店内には貴重な古書やリトルプレスも並べられている。


〈BOOKNERD〉を始めるきっかけと現在の運営スタイル。



編集部 まず、〈BOOKNERD〉はどんな書店なのか教えてください。

早坂さん 最近増えている「独立系書店」という立ち位置だと思います。大型書店のように豊富な種類の新刊本を置いているわけではなく、店主が厳選した本を置いているスタイルです。

うちは新刊本だけでなく古書も置いていますし、和書だけでなく洋書も取り揃えています。また、一般的に流通していないようなリトルプレスも取り扱っています。

編集部 〈BOOKNERD〉を営む上で、早坂さんが大切にしていることは何ですか?

早坂さん 僕が本屋を開こうと考えた頃、すでに東京や大阪などの大都市圏で独立系書店がいくつも開業していました。旅行でそういう場所を訪れた時、とても楽しかった思い出が残っています。大型書店と同じ本が置いてあったとしても、本のセレクトや置き方で大型書店では気づかなかった驚きや発見がありました。

同じように、ここへ来てくださる方は「どういう本棚なのか」ということに興味を持ってくれていると思います。興味が広がっていき、思いがけない出会いが生まれたらいいな、と思って本を揃えています。

例えば、村上 春樹さんの小説が原作の映画『ドライブ・マイ・カー』が話題になっていますよね。その小説の隣に、映画監督の濱口 竜介さんが書いた本を置いています。そういう関連性がどんどんつながって、グルーヴになっていく。その面白さにお客様が気づいて、何か予期せぬ出会いがあったら嬉しいです。

自分が何のために働くのか。考えた末の起業と失敗。



編集部 早坂さんが書店を開業するまでの経緯を教えてください。

早坂さん 専門学校を中退後、様々なアルバイトを経て求人広告の仕事に13年間従事しました。最初は興味を持って仕事に励んでいたのですが、営業から管理職へとステップアップしていく中で、だんだんと生活の糧を得るためだけに仕事をするようになっていたんです。

「食べていくため、老後のため、お金がもらえればいい」そんな惰性の気持ちで仕事をしていると、ふと気付きました。

会社員として働き続けた先のゴールが見えてきて、一度きりの人生がこのままで良いのかと考え直し、会社を辞めました。そして書店ではなく、同じような職種で友人と起業したんです。でも、うまくいかなくなって売却し、他の企業の子会社になりました。

自分が仕事を通じて社会にどう貢献したいのかまで、考えていなかったんですよね。だから結果的に手放すことになってしまった。子会社の雇われ社長になり、また大きな資本に飲み込まれ、元の形に戻ってしまいました。


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