「アイゴ」という魚を知っているだろうか?
今、日本の海では海藻が著しく減少する「磯焼け」という現象が問題となっており、原因のひとつがこの魚だと言われている。
地球温暖化によってアイゴの生息する地域が広がり、餌である海藻を食べ尽くしてしまっているのだ。そんなアイゴを美味しく食べることで、海を守ろうというプロジェクトがある。
これを立ち上げたのは、Webメディア「海のレシピプロジェクト」。
こちらは日本財団 海と日本プロジェクトの事業の一環で、現在、表参道で開催している展示イベントでは、“食”と“ものがたり”を通して海の今と未来を考えることができる。
「アイゴが増えたなら、食べればいい」。考え方はシンプルだが、実はそう簡単な話でもない。
アイゴの背ビレと腹ビレには毒の棘があり、臭みもあるため処理や加工をするのにかなり手間がかかる魚。それゆえに漁師たちからも“海の厄介者”として敬遠され、一部の地域を除いては食卓に上がることもほとんどない。
しかし毒や臭みさえ取り除けば、まるで高級魚のような美味しさともいわれている。つまり美味しくなる可能性を秘めた魚でもあるのだ。
そこで海のレシピプロジェクトは、市場価値のないアイゴに新たな価値を持たせるために、大分県の水産加工会社「やまろ渡邉」と共同して干物を開発。
イベント会場内のスパイラルカフェでは、スープストックトーキョーが監修した限定メニューが用意され、アイゴを味わうことも可能だ。
ということで、オーシャンズ取材班もアイゴのブイヤベースを実食してみた!
アイゴと夏野菜のサフランブイヤベースに、海藻サラダが付いた「海の森スープセット」1380円
見た目はごく普通の白身魚だが、口の中に広がる旨味がかなり強い。干物として加工されたものを使っているので当然臭みはなく、皮まで美味しく食べられる。
アイゴの出汁が効いたスープも奥深い味わいだ。高級魚のような味という例えも、確かに納得できる。
こちらのブイヤベースはイベント期間中のみの提供だが、今後はアイゴの干物を商品化することも計画しているとか。家庭の食卓に上がる日もそう遠くないかもしれない。
イベントではこのほか、海洋プラスチックを用いたアート作品の展示されていたり、トークショーが開催されたりとコンテンツは盛りだくさん。
イベントは明日8月12日(金)までの開催で、今日明日だけでも以下のような催しが予定されている。
【ワークショップ】
8月11日(木・祝)13 :30〜14:30
「海のプラスチックのお話と海洋プラスチックでぺったんカードづくり(はがき5枚付)」
講師:松澤有子、 クラゲのくらちゃん
参加費:500円(材料費込み・はがき5枚制作)
【ライブ】
8月11日(木・祝)17:30〜18:30
「音楽家による“海のうた”ミニライブ」
出演:⻘柳拓次(音楽家)
参加費:500円(18歳以下無料)
【トークショー】
8月12日(金)18:30〜20:00
「海の時間と私たちの時間─ハワイの伝統航海カヌー「ホクレア」の旅から─」
ゲスト:内野加奈子(ハワイ伝統航海カヌー「ホクレア」クルー)
参加費:500円(18歳以下無料)
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美味しく食べることで、海の未来を守るーー。そんな“うまい”話には、どんどん乗りたいものだ。
[イベント詳細]
海の森、海のいま展 ー海のレシピプロジェクトと新たな航海のはじまりー
期間:8月3日(水)〜8月12日(金)
場所:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
住所:東京都港区南青山5-6-23
時間:11:00〜20:00
料金:入場無料
[問い合わせ]海のレシピプロジェクト実行委員会 https://uminorecipe.jp/