OCEANS

SHARE

市販鎮痛薬の飲みすぎは、“薬物乱用頭痛”の引き金に



――頭痛を感じたら、痛み止めを飲んで紛らわすしかないのでしょうか?

医師の診断を受け、処方された薬を正しく服用するのはいいでしょう。けれど、自己判断で市販の頭痛薬に頼りすぎると、かえって痛みが強くなる薬物乱用頭痛の恐れが高まります。

例えば、市販の頭痛薬を3日に1回以上、しかも数カ月にわたって飲み続けているような頻度の方は、注意が必要です。
 
――痛み止めを飲み続けることは、頭痛を悪化させるんですか?

頭痛薬を頻繁に飲んでいると、痛みを感じるセンサーが麻痺して痛みに過敏になり、ちょっとした刺激でさえも強い痛みとして感じるようになります。

そうなると、「薬を飲む回数・量が増えてくる→薬が効きづらくなる→頭痛を恐怖に感じるがあまり痛くもないのに予防で服用する」という、依存症に近い状態に陥ってしまうんです。
 
――負のスパイラルですね。疑うべき薬物乱用頭痛の特徴はありますか?

まず2日に1度ほどの高頻度で頭痛に悩み、その度に市販薬を飲んでいる方に薬物乱用頭痛の可能性があります。そのうえで、早朝や明け方に痛みを感じる方や、自己判断で薬の量を増やし、それでも効かないと感じている方は疑ってみるべきでしょう。

うつ状態やパニック障害を発症するケースも少なくないので、ぜひ専門医の診断を受けてください。

二日酔い頭痛に片頭痛だって、抑えるコツはちゃんとある

 ©︎Milatas/iStock

 ©︎Milatas/iStock


――二日酔い頭痛がツライんですが、こればかりはどうしようもないですよね?

飲み過ぎた次の日に頭痛が起こるのは、アルコールの代謝産物(アセトアルデヒド)が脳の血管を拡張させる働きをするためです。この場合はとにかく水分をしっかりとって、これらを体から排出することが必須です。またこの二日酔い頭痛は片頭痛と同様のメカニズムで起こるので、痛みの発現をコントロールすることもできます。
 
―――片頭痛にも予防法があるんですか!?

そもそも二日酔い頭痛をはじめ、頭痛を起こしやすい方は、生まれつき血管や神経が敏感な方が多いんです。なので日常生活では刺激となる強い光や陽射し、騒音を予防しながら過ごすとよいでしょう。

それでも頭痛が起こったならば「暗い場所で休む」「入浴は避けてシャワーにする」など、脳への刺激を抑えてあげることが痛みの緩和につながります。

たくさんの頭痛の種類がある中で、まずその原因を特定することが最優先。このコロナ禍ならばなおさら、時間とメンタルのゆとりを持って、自分の脳と向き合ってほしい。

長瀬瑠美奈=取材・文

SHARE

次の記事を読み込んでいます。