突然で恐縮だが、あのホンダがかつて「水」を手掛けたのをご存知だろうか。
「み、水? もしや何やら怪しい方向にハンドルを切ったんじゃ……」なんて心配は無用。
むしろさすが日本屈指の自動車メーカーで、実はこの“ホンダ水”、運転中の「かくれ脱水」へのアラートだったのだ。ということで、夏の旅行前にご一読あれ。
体から水分を奪っていく“見えない汗”
どうやら人間とは、全身から水分を放出する生き物らしい。
科学的には「不感蒸泄」と呼ばれるこの現象、我々は知らないうちに、吐く息や皮膚・粘膜から、
体内の水分を蒸発させているという。大人ではその量なんと、
1日に約1リットル!
つまり、汗をかいていないからと水分補給を怠っていると、気づかぬうちに体は脱水状態に陥ってしまうのだ。
車中は脱水リスクのオンパレード
しかも恐ろしいことに、
エアコンが効いた快適な空間ほど、見えない汗は大量に放出されているらしい。
閉ざされた車中で作られる乾燥した空間は、不感蒸泄をさらにエスカレートさせるのだ。
例えば夏のドライブ。窓ガラス越しにジリジリと太陽の光を受ければ汗が噴き出すのは周知の通り。それでも汗ばむことなく過ごせるのは、エアコンで乾燥した空気が汗を蒸発させているから。
ならば冬は安心かと思いきや実は逆で、冬場はさらに空気が乾燥しているため、見えない汗の量はさらに増えるという。
そのうえ、長距離ドライブにつきまとうのは、いつだってトイレ事情の不安だ。
渋滞などに備えて飲み物を控えてしまうせいで、ますます脱水症状に一直線……まさに負のサイクルである。
1時間に200mlの水が命を救う
では、「かくれ脱水」の何が危険かなのか。実は、脱水症状に陥ることで疲労が蓄積し、集中力も低下。そのぶん、
運転中に事故を引き起こす可能性も高まるという寸法だ。
医師によると、
ドライブ中は1時間あたり200mlの水を飲むことが推奨されている。最悪の事態を防ぐためにも、これは全ドライバーが肝に命じておきたい教訓である。
そんなこんなで究極の安全性装備を追求した結果、“ホンダ水”が生まれたってワケ。ほら、怪しい話じゃなかったでしょ?(そりゃそうだ)。
“ホンダ水”は残念ながら、一般販売はしておらず、以前、「かくれ脱水」の危険性を広めようと、メディア関係者にお歳暮ならぬ「帰省暮」として配布されたという経緯がある。
この“ホンダ水”は飲めなくとも、1本の水がドライバーと同乗者の命を守ることに繋がるのは変わらぬ事実。これを機に、意識的な水分補給を改めて心掛けよう。ただし、
コーヒーやお茶は利尿作用があるのでご注意を。
それでは、Have a good holidays♪
参考:「ストップかくれ脱水 Honda DRIVE WATER」