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軽井沢「ツキノワグマの保護管理」の仕掛人ってどんな人?

仕掛人を構成する要素



C.W.ニコルさんに憧れて

[Profile]北海道で大型野生動物の研究をしていた田中は「軽井沢で、人とクマの関係が大変なことになっている」と聞き、15年前に軽井沢へ。星野リゾートに入社し、ベアドッグとともに、人とクマの遭遇をできるだけ減らすために日々奮闘しています。「クマが出た」という通報があればすぐに現場へ駆けつけます。


子どもの頃から生き物が大好きだった田中。当初はそれを仕事にできるとは考えず、大学に入り、経営学を学んでいたそうです。

でもC.W.ニコルさんの本を読み解くうちに「オレは本当は何がしたいんだ」と自問し、環境問題に取り組む専門学校を作った、ニコルさんの活動を実際に追いかけるようになりました。

その専門学校へ転入しようとしましたが、ニコルさんに「卒業してから来なさい」と言われ、お金を貯めて再度アタック。そこで学び直しました。

「僕がピッキオに来てから、ニコルさんのシンポジウムをしてもらったりしたこともあります。まさに僕の人生を決めた大きな出会いでした」。

褒めて育てる。ベアドッグ・タマとのパートナーシップ



日本およびアジアにいるベアドッグは、ピッキオにいる2頭だけです。クマを追い払うベアドッグのタマは、もうすぐ2歳6ヶ月。初代のブレットが亡くなって、2代目として昨年やってきました。

ベアドッグはクマを傷つけずに人の居住エリアから遠ざけて人を守るため、クマの匂いをかぎ分け、追跡したり大きな声で吠えて追い払ったりする訓練を受けています。

「まだまだ訓練過程ですが、今年は初めてのシーズン。生きたクマを追い払うのは場数がいりますが、褒めて成功体験を認識させて、ポジティブにトレーニングしています」。

斜面を勢いよく走るときも、リードを放すわけにはいきません。別荘から人やイヌや車が飛び出してくる可能性もあるからです。

「下りは滑落の危険もあり、ハンドリングにはそれなりの運動神経と体力がいりますね」。田中さんは、タマの頭を撫でながら、嬉しそうに語るのです。

シーズン中は禁酒。冬は猟も楽しんで



クマが冬眠から覚めるシーズンには、通報があれば夜中でも飛び出していくため、24時間態勢になる田中さん。「当然、お酒は飲めません。なかなか厳しい仕事ですね」。

でも、彼を支えるのは、家族の存在。3人の娘さんがいるそうです。「冬には猟もしますが、娘たちが『お父さん、今度はいつ鹿をとってくるの』と楽しみにしてくれるようになりました(笑)」。
 
同僚 大嶋元さんの声「ベアドッグのママ友です! 」
田中さんは、慎重で確実に物事をこなす人。田中さんのベアドッグのタマ、僕のナヌック。お互いのイヌの育児談義をするときは、まるでママ友の会話みたいですね(笑)。お互いのイヌの長所・短所を話して、唯一わかりあえる仲間です。クマの保護チームは3人いて、3人3様の冗談を言うんですけど、田中さんの冗談はわかりづらいのが難点です(笑)。


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