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まず言っておく。白髪は素敵である。経年によって起こるこの変化は、味わいにも直結する。決してネガティブなことではない。ただ、少しでも長く、今ある自然な黒髪でいつづけたいと願うのもまた、正直なところだろう。
30〜40代のオーシャンズ世代であれば、この狭間で揺れ動く感情を、少なからずわかっていただけると思う。
そこに飛び込んできたのが、大正製薬からの驚きのリリースである。タイトルは「
近い未来、白髪が治る時代をつくるべく研究活動を進めます」。
その下には「
大正製薬が白髪改善の臨床試験に成功」とある。マジか。
髪の毛はもともと“白”である
リリースによると、そもそも髪の毛は、毛穴から出る前は白いという。
毛母細胞が成長することで髪の毛はできあがるのだが、実は、毛母細胞は色素を持っていない。ではなぜ髪の毛に色(黒であれ茶であれ)があるのかというと、毛根のお隣りさん(=メラノサイト)がメラニンで色を付けるから。
つまり白髪は、このメラニンの受け渡しがうまくいかなかったり、生成できなくなることで発生するのだ。
こうした原因が解明されたことで、前述の「白髪が治る時代」が見えたのである。
画期的な2つの成分の正体
白髪発生の原因を潰すのに必要なのが2つの成分。その名を「
ボタンピエキス」と「
ブラックリバースペプチド1」という。
後者はストレートな名前だが、前者はいったい何なのか? それは、植物のボタンの根の皮から抽出されたエキスで、古くから生薬として知られるものである。
そこに、ミトコンドリアユビキチンリガーゼ(以下マイトリガーゼ)の産生を促す力があることを大正製薬が発見。
学習院大学・柳茂教授によれば、マイトリガーゼの低下が、脱毛や白髪発生につながるとのこと。つまり「ボタンピエキス」がその低下を抑制してくれれば、毛穴から出てくる毛に再び色が付く、と考えられるのだ。
そして、そんな「ボタンピエキス」をサポートする存在としてカナダの医薬品原料開発メーカー「LUCAS MEYER COSMETICS(ルーカスマイヤーコスメティックス)」が開発したのが「ブラックリバースペプチド1」。
こいつは、毛根のお隣りさん(=メラノサイト)に直接働きかけ、その増殖やメラニンの産生を促す存在で、「ボタンピエキス」とともに毛包メラニン量を相乗的に上げることが確認されている。
リリースには、こんなビフォアアフターも載っていた。これ、凄くないか?
「白髪染め」は過去のものになる
「ボタンピエキス」と「ブラックリバースペプチド1」による白髪改善効果は、ヒト臨床試験でもすでに確認済み。
研究でよくある“理論上は”という時代はもう終わっているのだ。
となればこれから、シャンプーやらヘアケア剤を求めるときに成分表記欄をガン見してしまいそう。覚えておくべきは「ボタンピエキス」と「ブラックリバースペプチド1」。
白髪を染める時代は過去となり、治す時代がすぐそこにきている。大正製薬さん、ありがとう!