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2022.07.12

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学生の「ちわす」と似た言語学の現象。ラーメン屋のあいさつが「っしゃっせー」な深い訳とは

ラーメン屋の店員が「っしゃっせー」と発音するには、実は言語学的に深い理由があった(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)

ラーメン屋の店員が「っしゃっせー」と発音するには、実は言語学的に深い理由があった(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)


当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら

ラーメン屋に入ると聞こえてくる威勢のいい「っしゃっせー!」という声。ほとんどの人はこれについて深く考えたことはないだろう。が、これが男子高生の「ちわす」と言語的に似た現象だと知ったら興味がわかないだろうか。

日本語ラップ、ドラクエ、ポケモン、メイド喫茶など、あらゆるテーマを対象に言語学的な分析を行い、反響を呼んでいる気鋭の若手学者、川原繁人氏の新著『フリースタイル言語学』より、ラーメン屋の店員が「っしゃっせー」と発音する言語的理由をおもしろおかしく解説する。

中学生心をくすぐった「エントロピー増大の法則」

中学生の時にハマった漫画の1つに、『孔雀王』がある。密教のお坊さんが真言呪文を駆使して悪と戦う、ちょっと色気も混じった壮大なるエンターテインメントだった。

その中で、私の厨二病心をくすぐったのは「エントロピー増大の法則」である。意訳すると、「エントロピーは熱力学の分野で使われる乱雑さの尺度で、エントロピーは増大する運命にある。つまり世界は滅びの方向に向かっている」というようなことが語られていた。

『孔雀王』が大好きなまま学者になった私は、「言語の分析に関しても、エントロピーの概念が有効だ」という理論に出会った時に、飛びついた。しかもこの概念によって理解できる言葉の不思議が、私たちの日常にあふれているのだから、言語学者としては、毎日が刺激的すぎてしかたがない。


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