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その背景に思わず肩入れしてしまう

仕事柄、特定のメーカーや車種に肩入れをするのは好ましくないけれど、日産アリアについてはぜひとも頑張ってほしい。

思えば、世界初の量産EVは2010年に発表された日産リーフだった。もちろん、ある日突然EVが完成するわけもなく、日産が1990年代から地道にリチウムイオン電池の開発を行っていたからこそ、リーフは「世界初」の称号を得ることができた。

あれから12年——。全世界で50万台以上のリーフがオーナーの手に渡ったけれど、ただの一度も火災事故を起こしていないのは立派だ。

それから日産は、東日本大震災の被災地である福島県浪江町に、EV用バッテリーの再生工場を立ち上げた。ここで再生したバッテリーと持続可能なエネルギーを組み合わせて、災害に強い街づくりにチャレンジしていることも立派だ。

また、東名高速の海老名SAにEV専用ラウンジを期間限定で開設したことも記憶に新しい。

日産はここで、充電中のEVのオーナーにミシュランガイドで一つ星を取った店が監修したハンバーガーを振る舞ったのだ。しかもテスラやポルシェなど、メーカーを問わずに。

EVの畑を開墾し、種を撒いて育てた日産なのだから、プレミアムEVのアリアという果実も収穫してほしいと願うわけです。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。某社のEVの試乗会で、「ウクライナにあるEV用ハーネス工場が被害を受けた」と聞いて、こんなところにも戦争の影響があるのかと驚いたという。




「欲しい」と思わせてくれるEV

“EVの日産”が満を持してマーケットに投入したアリア。ちょっと時間がかかったような気もするが、これくらい気長な人じゃないと充電に時間のかかる本格的なBEVなんて使いこなせるはずもなく……。それはさておき。

アリアは日産の主力モデルにならなきゃいけない。その心意気のほどはというと、なるほど内外装のデザインやその質感にしっかりと表現されている。

BEVどころか、エンジン車、ハイブリッド車と比べてもトップレベルの仕上がり。

そもそもBEVだからどうのこうのと評価するのがおかしいのです。買うも買わないも、まずは車としての魅力が先立つ。「BEVとしては上出来」なんて評価はナンセンスです。ライバルのBEVたちと比べたところでさほどの意味はない。

今、発展途上にある電気自動車に必要なことは、決して低くないハードルの数々(充電インフラなど)を消費者に超えさせてしまう“商品力”なのだから。

アリアにはその力が備わっていると思う。デザインはもちろん、走りにもそのハードルを超えて「欲しい」と思わせる魅力がある。

ここ数年の日産車、否、国産車のなかでもトップレベル。BEVとしては特に加減速の制御が素晴らしい。リーフの経験が活きた、使いやすいBEVに仕上がっていると思います。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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