「知らないと怖いカラダのサイン」とは…… 高齢者に多いとされる認知症。しかし実は、若くても発症することがあり、日本では65歳未満の認知症を「若年性認知症」と定めている。
実際はどんな病気で、何か予防策はあるのだろうか? 医師の岩瀬利郎先生に話を聞いた。
話を聞いたのはこの人! 岩瀬利郎●精神科専門医・睡眠専門医・認知サポート医、 東京国際大学医療健康学部准教授/日本医療科学大学兼任教授。埼玉石心会病院精神科部長、 武蔵の森病院院長、 東京国際大学人間社会学部専任教授を経て現職。
認知症は40代が発症してもおかしくない病気
――若年性認知症って、どんな病気ですか? まず、認知症とは、脳の病気や障害といったさまざまな原因により、認知機能が低下し日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
そのうち、
65歳未満で発症するものを、若年性認知症と呼んでいます。
――年齢によって症状は変わるものですか? 発症した年齢によって症状が変わることはありません。もっとも多いのが
アルツハイマー型認知症で、その次に
レビー小体型認知症と
脳血管性認知症が続きます。しかし、若年性認知症では脳血管性認知症がいちばん多いという統計もあります。
――この二つにはどういう違いがありますか? アルツハイマー型は、脳の神経細胞が徐々に減っていく進行性の病気で、記憶障害がゆるやかに進行します。一方、脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で生じる認知症で、言語障害や歩行障害が伴うことがしばしばあります。
また、レビー小体型認知症は、「αシヌクレイン」というたんぱく質が、脳に蓄積されることで神経に異常をきたす認知症です。
いずれにしても、一度発症すると元の状態に戻すことは難しい場合が多く、できるだけ進行を緩やかにすることを目的として治療が行われます。
――働き盛りの世代も油断できないですね……。 はい。そもそもアルツハイマー病の語源となっているドイツの医学者アロイス・アルツハイマー氏が最初に報告した認知症の症例は、46歳の女性でした。ですので、40〜50代の方が罹病しても何らおかしくない病気なんですね。
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