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③ 築年数のウラに潜む、金銭的なしっぺ返し



中古物件を購入する際に気をつけるべき建築基準法。1950年の制定後、耐震基準だけでもこれまでに、1971年、1981年、2000年と3度の大きな改定が行なわれている。

築年数が古い物件なら、その辺りも当然チェック項目のひとつとして視野にいれる人は多いだろうが、これがまた、場合によっては予想外の出費を生む危険性を孕んでいることを理解しておく必要がある。

山本さんもそれを実感したひとり。



「リフォームすることを前提にしていましたから、築年数はあまり気にしてなくて、むしろ内装とかはボロボロでも安いほうがいいなと思いながら、テコ入れするとしたら耐震かな、とはなんとなく思っていました」。

ただ、物件によっては予想以上に“テコ入れ”を図らないと住むことができないものもある。

何がハードルを高めているかというと、“蓋を開けてみなければどこに問題を抱えているか分からない“という点だ。



「若干、雨漏れがあったので屋根は直しました。耐震の関係で各所に梁を足したりもしましたし、床下のシロアリ被害も心配だったので薬も撒いています。その額、合計数百万。やっぱり、買う前に完璧にはわからないですよね。

工務店の方が見たらなんとなく把握できるようですが、購入後にいろいろ開けてみないと、何をどこまで足さなきゃいけないかなど不明点は少なくない。

築年数が古くて安いからと安易に手を伸ばすと、購入して壁や屋根を開けたあとに、想定を超える出費が返ってくることもありますよ」。


④ 契約前に必要なリノベの見積もりで、時間が足りない!

リノベーション込みで中古住宅を購入する際、住宅ローン契約時に必要となってくるのがリフォームの見積もり。

その際、工務店名や建築士名なども記載しなければならないことが多いという。



「購入時に住居目的で使うことを証明するため、契約時にリフォームを入れるなら、工務店と建築士にお願いしてこういう感じにやりますよというリフォームの見積もりを一緒に出さなきゃいけなかったんですよ。

だから、ここを契約する前に建築士のところへ一度リフォームの相談をしに行きました」。

山本さんがイメージしたのは、海外ではわりと一般的なハーフビルド。



「もともと自分で全部やるセルフビルドを考えていましたが、安全面なども考慮してハーフビルドを目指しました。耐震や地盤などの確認を任せられ、ハーフビルドを二人三脚でやってくれる建築士を探しましたね。

建築士は都内の方よりも、地元の方で探しました。その点に関してはよかったですけどね……。実際いろいろ進めていると、なかなかフィーリングが合いませんでした

ただ、いかんせん目の前に迫った契約までに見積もりを出さなきゃいけなかったため、悠長に構えている暇がありません。時間がなかった分、建築士さん選びはちょっと後悔が残る感じになっちゃいましたね」。





購入が決まってから着工までの間でも、いろいろな想定外の落とし穴に見舞われた山本さん。ただ、知っておけば回避できたこともあったというから、この教訓をぜひご自身の糧にして頂きたい。

次回は、山本さんが建築士選びに「いろいろ後悔が残った」と語るわけと、DIY作業についてを。

山本 大=写真 菊地 亮=文

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