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中身は小学生!? 先進のアーティストが描く自身の未来



プライベートではネットも見ず、SNSもやらない。一般の職業の人と比較してもデジタルからはほど遠い重度のアナログ人間。そのことについて言及すると、「よく言われます(笑)」と、申し訳なさそうに頭をかきながら……。

「そもそも最初は映画を撮るためにデジタルを使っていましたが、あるときから映画ではなく別の映像を作るようになったんです。だから好きが高じてではなく、デジタルはあくまで便利なツールのひとつという感覚です。

まず自分の中に作りたいもののイメージがあって、そのイメージを具現化するのにデジタルを使うことが最適というだけで。例えば映画を作る際にリアルな描写を撮るときにCGを使うじゃないですか。あれと同じです」。

最近注目されている、データでありながら唯一無二の価値を保証するNFTアート市場について訊いてみると「すごいタイミングでの質問ですね」と驚きの表情を見せた。真意を図りかねていると。

「実は、先ほど初めて自社のNFTアートを発売したのですが、販売開始10分で完売したと報告を受けたばかりのタイミングでの、この質問だったのでびっくり(笑)。

今後、NFTが日本にしっかりと根付くまでにはもう少し時間がかかると思っています。僕たちが販売したのは簡単に言うと桜のアート空間をデジタル化したもので、今回はそのアートを10ピースに分けて販売しました。10個すべて集めるとひとつのアートが完成するというものです。

所有できて、なおかつ所有者のデータが記録として残りますから将来的に転売ができるのがNFTの良さ。何年後かにこの作品をひとつに完成させたいという人が出て来たら面白いですよね。

今後は、例えば購入した作品をカスタムできるようにするなど、NFTならではの仕組みを作って新たなアートができたらいいなと思います」。

映画監督や俳優、演出家など、これまで興味の赴くままにさまざまな経験を積んできた。そんな村松が生きている間に実現させたい夢とは。すると「ないんですよね。ずっと夢見ているからという説もありますけど」と、どこか他人事。

「昔からそうなのですが、ゴールを決めちゃうと、もし達成できてしまったらそのあとが困るじゃないですか。中身が子供なんですかね。いつか大人になるものだと思っていましたが、いつになっても変わりません。そもそも、いつからが子供と大人の境なのかもわかりませんし。

あ、たしかOCEANSは37.5歳の読者を想定した雑誌でしたよね? 僕なんて精神年齢は小学生くらいですけど、このインタビュー成立しますか(笑)!?」。

子供のように無邪気に語ったかと思えば、すぐソファにゴロンと横になり、大人の眼差しで静かに虚空を見つめ、物思いにふける。驚異的な音楽マニアであり、本州をほぼ縦断できるほどのドライブ好きという規格外っぷり。

アナログとデジタルの海で自分らしく自由に泳ぐ村松にとって、子供と大人を隔てる常識という名の枠はいつまでも存在しないのかもしれない。


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