キーワードで紐解くアイウェアクロニクル1940-2010
1920〜’30年代がどのようなアイウェアで語られるのか、そしてそのアレンジを前項までで解説した。
それではそれ以降から現在まで、年代ごとにどのようなキーワードで語ることができるのか? 引き続き岡田さんにご指南いただき掘り下げてみる。
必要から生まれた機能性だけでなく、時代を彩ったサブカルチャーまで。
アイウェアクロニクルが導く新たな発見に、ぜひ心踊らせてほしい。
8万9100円/ザ・スペクタクル(グローブスペックス ストア 03-5459-8377)
[1940s]「バーブリッジ 」鼻梁に直接フレームをのせる 一山タイプの流れを汲むブリッジから移行し、上部をつなぐバーブリッジを備えたモデルが人気を高めていく。
「バーブリッジが流行した要因は、いわゆるコスメティックリーズン。つまり、掛けた時に鼻筋が通って見えるという美容効果によるもの。
またデザインのモダン化に伴って細かい彫金が省かれるようになったのもこの時期。以降はブリッジの形状にもバリエーションが生まれ、ダブルブリッジなどに派生していきます」。
3万1900円/サイ スペックス(グローブスペックス エージェント 03-5459-8326) © Michael Ochs Archives/Getty Images
[1950s]「アセテート」選択肢の多様化を求め、メタル以外のフレームにも注目が集まり始める年代。
「アセテートが一般化し、キャッツアイなどの個性的なモデルも誕生しました。そのアイコンとなったのが、シンガーソングライターのバディ・ホリー(写真右下)。
当時から女性もののイメージが強かったキャッツアイを掛けた彼の佇まいはファッション界にも大きな影響を与え、今でも多くのファンがいます。
これは、当時彼が掛けていたモデルをベースにしたレプリカ」。
4万700円/オールドジョー グローブスペックス オプティカル コー(グローブスペックス エージェント 03-5459-8326) © Truman Moore/Getty Images
[1960s]「ブロウタイプ」その誕生には諸説あるが、岡田さん曰く「1940年代後半にアメリカのシューロンというブランドが出した『ロン・サー』がブロウの元祖」とのこと。
ブームは ’60年代に絶頂を迎えたが、黒人解放運動の指導者であるマルコムX(写真右下)の存在が大きかった。
「印象的な彼の勇姿につられてか、一気に一般化します。ちなみに、上のナチュラルカラーのブロウタイプは、’50年代に撮られた新橋駅前の群衆に居た男性の写真からインスパイアされて作ったモデルです」。
5万7200円/アーレム(グローブスペックス エージェント 03-5459-8326)
[1970s]「ヨーロピアンクリエイション」世界最古のメガネメーカーとして知られるアメリカンオプティカルをはじめ、USブランド隆盛の時代にひと区切り。1970年代以降はヨーロッパに主導権が傾く。
「戦後にまず力をつけたのがドイツのメーカーで、ローデンストックやカール・ツァイスといったところが代表格です。
このダブルブリッジは ローデンストックの『トロ』というモデルの流れを汲んでいます。『トロ』は’70年代当時に世界でいちばん売れたモデルとして記録に残っている名品なんです」。
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