愛情のある一本に、異なる「1930年代」の要素をプラス
上から4万7300円/グローブスペックス エージェント 03-5459-8326、80万9600円/グローブスペックス ストア 03-5459-8377
[NEW ARRIVAL(写真上)]
サイ スペックスの「ヘックス バー」
下のヴィンテージを愛するがゆえに、同じくアイウェアに強いこだわりを持つサイとの協業で作り上げた。
「往年のものは玉型のサイズが小さくて掛ける人を選んだので、少し大きくしました。そのうえで、同じく’30年代頃のアメリカで流行した六角形の玉型を導入。
異なるアンティークデザインの魅力を組み合わせ、あえて昔のものとは異なる面白みを追求しました」。
[1930s VINTAGE(写真下)]
ザ・スペクタクルの「フルフレーム フルビュー ミュージアムピース」
いわゆるボストンタイプが定着したのは’30年代。ただしこのモデルには、当時としてはレアなディテールも。
「フレームの最上部でつながるトップバーは、もう少しあとの時代で流行したもの。しかも彫金があるのはきわめて珍しい。レトロなのに先進性が感じられて、個人的に好きなメガネです」。
クラシック回帰。そう叫ばれて久しい昨今のアイウェア事情について、岡田さんはこう考える。
「古いものには相応の魅力がありますが、過去を単純にひと括りするのはもったいないと思います。アイウェアには進化や変化の段階があり、時代や地域ごとの特徴は違うんです」。
そもそもメガネの歴史は14世紀のヨーロッパまで遡るという。当時は識字率が低いため、聖書を読む教会関係者や高度な教養を身に付けていた貴族階級がユーザーの中心。
しかも当時は、持ち手を持つローネットタイプや鼻に乗せるフィンチで、ふたつのレンズをテンプルでつなぐ現行の形になったのは19世紀以降のようだ。
「産業革命によって識字率が上がり、メガネは一般層にも普及します。
そして、それまで銀細工や馬蹄を作っていた熟練の職人がワンオフの手作業で作っていたところから、ギルドの時代を経たうえで量産体制の時代へと徐々に入って行きます。
また第一次世界大戦後には、職を失った宝飾職人たちが実用品である眼鏡業界に入り、その腕を奮ったため、この時代のものには非常に美しい装飾が施されているのが特徴。
特に’20 年代からは非常に精巧な彫金細工のメガネが普及します」。
サングラス4万7300円/グローブスペックス エージェント 03-5459-8326、カットソー3万800円/ウィリー チャヴァリア(ジェットン ショールーム 03-6804-1970)、ショーツ1万8700円、ネックレス3万5200円/ともにデンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086)、靴1万9800円/ティンバーランド(ティンバーランド/VF ジャパン 0120-953-844)
今からおよそ100年前でもこれだけの変化があったように、必然と偶然のなかで発展を遂げたアイウェア。
では、その流れを熟知する岡田さんはどこに面白みを感じ、どう新しいものを生み出すのか。
「各時代にそれぞれの素晴らしさがあるのですが、模倣するだけでは意味がありません。
数は少なくとも大昔のアンティークだって手に入りますし。だから僕はそれらをしっかり見て、当時にはなかった発想を持ち込みたい。
例えば、時代ごとに異なる個性をあえてミックスしたり、昔のアイデアを最先端の素材で具現化してみたり。メガネは、フレームのラインが1mm違うだけで掛けたときの印象が一変します。
ディテールといってしまえばそれまでですが、徹底的に学んでいくことで新しい世界が開ける幸せだと思っています」。
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