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「ロエフ」

 

各1万4300円/ロエフ(ユナイテッドアローズ 原宿本店 03-3479-8180)


なるほどこの感覚は、昔ながらのTシャツを着慣れた我々にはかえって新鮮だ。

ゆったりとした五分袖。バスクシャツでもなく半袖スウェットでもない独特のシルエットを持つこの服は、確かにTシャツでありながら、Tシャツとは異なる位相のアイテムにも思えるのだ。

「カラダのラインを拾いすぎず、腕と袖にゆとりが出るような五分袖にしました。ドロップショルダーでゆったりめのボディですが、首元をやや詰めて締まった印象を演出しているところもポイントです」。

ディレクター兼デザイナーの鈴木里香さんが、この“新しいTシャツ”の特徴を端的に教えてくれた。

ネックがキュッと締まっていて、肩から袖にかけてストンと落ちていく感じ。これってもしかしたら、夏場の重ね着を楽しませてくれるTシャツなのかも。

例えばゆったりとした半袖シャツの下にレイヤードして、特徴的な五分袖をあえて覗かせる。いや、それよりルーズなベストをさっと合わせれば、このTシャツの特徴である首元と袖がさらに活きてくるかもしれない……というように、楽しい想像を掻き立ててくれる。

もちろん、一枚で着ても品の良さを醸し出してくれる。Tシャツというよりは、ハイゲージの上質なニットを着たときのイメージが近い。

スビンコットン(インド南部で栽培される稀少種の超長綿)素材の程良いツヤとドレープ感。その素材のクオリティを十分に引き出す丁寧な縫製。

鈴木さんの「カジュアルすぎず、清潔感のある大人の男性のためのTシャツ」という表現がしっくりくる。

そして今回このTシャツをリコメンドしてくれたうえで、次のように補足してくれた。

「Tシャツはどんな男性が着てもその人らしさが出るアイテムです。くたくたになったものでも、それはそれで素敵だと思います」。

理想の一枚を追い求めるのもいい。でも、自分が好きで着続けている一枚にこだわってもいい。女性からそんなふうに背中を押されるのは、Tシャツ好きにとって望外の喜びである。

ディレクター兼デザイナー 鈴木里香さん
トラディショナルブランド、デザイナーズブランドでメンズ・ウィメンズのデザイナーを経て、2007年にユナイテッドアローズへ入社。


作木正之介、Taichi=写真 加瀬友重、髙村将司、増山直樹、早渕智之=文

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