共同創設者のキース・エシェルマンさん(左)と、セバーグ・カザンツィさん(右)。彼らがボランティア活動で使うゴミ袋には、「訪れたときより良くして帰ろう」とプリントされている。ゴミをひとつでも持ち帰れば、訪れたときよりその環境は確実に良くなる。
▶︎すべての画像を見る 2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標は17ある。その15番目が“Life on land”。
日本では「陸上資源」や「陸の豊かさを守る」などと翻訳されるこの目標に直結する服を作っているのが「パークス プロジェクト」だ。
本国アメリカでは寄付金額累計が200万ドルを突破!
長袖Tシャツはブランドを代表するアイテムのひとつで、多彩な商品が用意されている。右はカリフォルニアを拠点とするアーティスト、ワイアット・ハーシーのイラストをプリント。製品の下げ札にはサーキュラーエコノミーの仕組みをわかりやすく記載する。各7480円/パークス プロジェクト(タイズサン 03-6421-1425)
パークス プロジェクトの活動を具体的に言うと「59あるアメリカの国立公園にインスパイアされた服やグッズを作り、その売り上げの一部を国立公園の管理・運営のために寄付している」である。
こう説明するといかにも堅く生真面目なイメージ。だがTシャツなどを見ればわかるとおり、パークス プロジェクトのアイテムからはどこかストリートの匂いが漂ってくる。
’18年にスタートした日本支部のディレクターを務める清水 泰さんが、ブランド創設者のキース・エシェルマンさんとセバーグ・カザンツィさんのふたりについてこんなふうに説明してくれた。
日本支部のディレクターを務める清水泰さん。神楽坂生まれの生粋の東京人だが、近年は東京と千葉を拠点としたデュアルライフを実践している。
「彼らはサーファーでありスケーター。だからデザインにはやはり、ストリートのエッセンスが入ってくるのでしょう。クライミングもやるので海のことも山のことも知っている。
彼らはよく『自然は結局つながっていて、全部同じだよ』なんて言いますが、確かに僕もその感覚は理解できます」。
創設者のふたりと同世代であり、彼らと同じように長くサーフィンやスケートボードを楽しんできた清水さん。
だからこそパークス プロジェクトの匂いを察知し、共感し、いち早く日本に紹介することができたのかもしれない。
「キースとセバーグは、もともとトムス(※1)というシューズブランドを手掛けていました。靴が一足売れるたびに、発展途上国の子供たちに新しい靴を一足贈るというビジネスモデルで知られています。
このトムスを’14年に売却したのちに立ち上げたのが、パークス プロジェクトなんです」。
つまりサステナブルな視点のもの作りというのは、キースさんとセバーグさんの一貫した哲学なのである。
ヨセミテ国立公園の清掃活動でのひとコマ。スタッフが並んで“PARKS”の人文字を表現している。こういった明るい雰囲気が幅広い層からの共感を呼ぶ理由だ。
本国アメリカでは今後10年間の目標として、国立公園保全のための100のプロジェクトへの資金提供を掲げている。
清水さんいわく「ものすごい勢いで伸びている」そうで、寄付金額の累計は現在200万ドル(約2億6000万円)を超えた。結果を残しているその理由は、おそらく彼らの発信力の高さにある。
SNSでアップするボランティア活動の写真はどれも明るくポジティブで、スタイリッシュ。いい意味で“映える”のだ。
サステナブルな課題を難しく捉えすぎないこと。これは国を問わず、SDGs達成のための大きなヒントではないだろうか。
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