当記事は「星野リゾート」の提供記事です。元記事はこちら。 ユーグレナ代表取締役社長の出雲充氏と星野リゾート代表の星野佳路氏による対談。
前編&
中編に続く最終回のお届けです。
バイオ燃料と2025年計画、さらに星野リゾートとの未来旅も?
星野 今回のユーグレナ探訪は、せきねさんのジレンマ発言から始まったんだけど、ミドリムシがカーボンニュートラルな油を生み出して、それが世界の気候変動対策に深く関わっていくというようなことを知らない人が多いですよね。
例えば、カーボンニュートラルな旅、我々はもう海水の淡水化装置、電機は太陽光で、ゴミもゼロエミッションでと、軽井沢から始まった水力発電や温泉の地熱利用などはすでにやってます。
それに、ミドリムシを原料に含むバイオ燃料稼働が諸々できれば、これはもう世界的に見てもモデルケース。ミクロなレベルで達成できれば、広めていけばいいわけですからね。そういう旅をしませんかという告知から始めれば、ものすごく面白いなと。
出雲 そういう旅ってできるんですけど、そういう旅しませんかと言って、「行きたい、行きたい」という人は結構いるんですか?
せきね います。世界にはたくさんいますよ。
星野 世界を見るとたくさんいます。日本を見たらまだまだですけど。
せきね 旅慣れている方というのは、世界中に頻繁に飛んで、地球温暖化による明らかな気候変動現象も目の当たりにしているはずですから、自然を愛するトラベラー達は、サステナブルな旅を一刻も早く実現したいと考えている、絶対!
星野 せきねさんと同じように、ジレンマを感じながら旅している人は多いです。
出雲 はい。
星野 そこで、昨日ちょっとご提案したんですけど、そういう未来を感じることができるというのは、旅の中のアクティビティの一つですよと。未来の社会を感じる。
だから昨日ちょっとお邪魔させていただいた、ユーグレナ社の生産技術研究所とか、それから竹富にあるクルマエビの養殖場とか、確かにがっちり秘密は守んないといけないんだけど、何か未来を感じさせる…。
竹富島は農地・川がなく農薬や赤土の流入がないことで、日本一きれいな海水で育つというクルマエビ。
出雲 もしくは感じるようにするということですよね。
星野 感じるようにする。だからユーグレナさんはほら、フェリーのターミナルに「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」と名前を付けたり、いろいろ石垣の中で溶け込むための策も練っていらっしゃいますけど、私はやっぱり根本は、石垣市民もそうだけど、世界から石垣に旅する人たちにね、ユーグレナ社の生産技術研究所をちょっと差支えない範囲のところを体験してもらって、未来に希望を持てる、そういう何かこう、見学コースができたりするといいんですけどね。
出雲 例えばそんな見学コースを作っても、「私らは素人なので、別にミドリムシの工場なんか見に行かないよ」と言って、誰も見にきてくれなかったら、やっぱりさすがに悲しいじゃないですか。
で、何か来てくれるのかどうかがよく分からなくて、本当にやっていいかどうかがまだ分からないですよ。
星野 確実にいますよね。
せきね 例えば、これからは高齢化社会ですし、人の健康をキーワードにすれば間違いないでしょう。アンチエイジングの基礎化粧品だって、元気な高齢女性は興味津々のはず。
「星のや 竹富島」の今回特別にご準備いただいたウエルカムドリンクでいただいたユーグレナのノンアルコール・カクテルが美味しくて驚きました。健康をコンセプトにしたホテル滞在こそ、世界中で今後の大きな課題ですよ。
星野 一番ユーグレナ社にとってはインパクトのある体験を、旅の一部として提供できると、会社にとってプラスだと思います。最大の広報。
出雲 場所もありますしね…。
星野 実際に観光と産業が結びついて成長したというのは、例えばフランスのワインなんかそうなんですよ。フランスは世界最大のインバウンド大国ですから。新型コロナウイルス感染症前は、年間、人口6700万人なのに8900万人集客しているんですよ、あそこは。
それで必ず、パリだけじゃなくて、ボルドーとかブルゴーニュとかってところも、くたくたになるような行程で行かせて、行った先でワインを飲むから、はっきり言って、どんなワインでもおいしく感じるような状態で飲ませるんですよ。(笑声)
そうするとやっぱり、自分が行ったことがある造り手もみて飲むと、どんな人がどんなふうに作っているかわかってブランドも覚えるし。自国に帰っても買い続けるし。
「観光の有り方はただその場を訪れるだけではなく、伝統や文化に親しんでもらい、人の意識を変えることも大切」と語る星野氏。
観光っていうのはただ人に来てもらってお金を落として帰ってもらうだけではなくて、人の意識を変えるのも観光の役割なんですよ。
もうちょっと観光と連携することによって、石垣に来た人たちみんながユーグレナのことを知って帰る。これが実は、個人的にはフェリーのターミナルに名前を付けるよりもはるかにでかい広報効果になるんじゃないかと。
出雲 なるほど。
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