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「自分らしい」ために無駄を省き、手間を惜しまない



気に入った物を長く使いたい。そのために手間がかかることは厭わない。

手間やハプニングは思い出になり、他人とは違うカーライフを送れる。そう考える土田さんは、建築家としても「手間」はかけるほどいいと捉えている。



「例えば個人の住宅を手掛ける際も、何回もスタディして、たくさん模型を作ったうえで提案しています」。



「手間を省いてしまうと、その先にあったかもしれない可能性を捨てることになる。そうやって手間を、可能性を省いていくと、結局みんな同じ建物しかできないと思うんです」。

可能性を広げる原体験は、幼い頃にあった。



「小さい頃は野球にサッカー、スキーに水泳。ピアノやフルートなども習っていました。ボーイスカウトもある日突然親から『行ってきなさい』と制服を渡された。かなり忙しい小学生でしたね(笑)」。

親元を離れ、海の近くにある大学に通うようになると、可能性を広げるクセが身に付いていたせいか、すぐにやったことのないサーフィンに挑戦。今も大好きな趣味のひとつになっている。



一方で仕事も遊びも、手間はかけるが無駄は省く。

「キャンプがまさにそう。最近は料理に手をかける人々が多いけれど、その時間があるならボクは愛犬と水遊びをしたり、自然を楽しみたい。だからサッと張れるテントにしたり、チャッとできる料理を作る」。

サーフィンも同じ。「海に入ることが目的だから、入る前の無駄は嫌。だから積み下ろしなどに時間のかかるロングより、車の中に積めるショートしかしかやらないんです。ルーフキャリアから下ろすのも、面倒ですよね」。



車との付き合い方も、サーフィンやキャンプ、旅行といった趣味も、仕事でも。手間を決して惜しまない。

「逆に仕事だけ手間を省くとか、自分の中で差があったら、かえってしんどいと思います。常に同じ自分でいて、それで躓いたら、まあそれも楽しいんです」。



「自分らしく」と言うのは簡単だが、土田さんはすべてに手間をかけることで、らしさを表現している。

何かと“手間”がかかるGクラスは、そんな土田さんにぴったりの相棒なのだろう。

鳥居健次郎=写真 籠島康弘=文

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