シーマと同様に今夏に生産終了という噂が出ているフーガ(写真:日産自動車)
シーマ、フーガ、スカイライン・ハイブリッドの生産終了によって、上級4ドアセダン販売の低迷がいっそう深まるのではないかとの論調もあるだろう。
今を切り取れば、SUV人気に沸いており、クラウンさえ次期型はSUVになるのではないかとの噂がある。
上級ミニバンとして売れ続けているトヨタ・アルファード(写真:トヨタ自動車)
また上級車としての価値は、アルファードに代表される上級ミニバンが代替となっている様相もある。
だが、私は4ドアセダンという存在は存続するし、盛り返せるときがくるのではないかと考えている。その根拠は以下のとおりだ。
1990年代半ば以降、世の中はミニバン志向となり、行楽地などの駐車場には大小を含めミニバンがずらりと並んだ。ミニバンへの要望は今日も存続するが、かつてほどではない。
ことに中間的な車体寸法のトヨタ「エスティマ」、日産の「ルネッサ」や「プレサージュ」、そしてホンダ「オデッセイ」などが姿を消す運命となった。
小型の5ナンバー級を中心とするトヨタ「ノア/ヴォクシー」、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」は、実用性が重視されるなかで堅調だが、上級ミニバンではアルファードの独り勝ちだ。
日産「エルグランド」は月販の50位内に車名がなく、ホンダ「エリシオン」はすでに姿を消した。そのようにミニバンに淘汰がはじまっている。
SUV人気も永遠のものではない
SUVは、今が絶頂期といえ、誰もがほしがる車種のひとつだ。しかし、やがて淘汰が起こるのではないかと思っている。
2021年9月に発表されたカローラクロス(写真:トヨタ自動車)
理由は、一度は体験してみたい消費者にほぼ行き渡りつつあると考えるからだ。小型の5ナンバーSUVから大柄なSUV、また高級車ブランドのSUVまで登場した。あらゆる選択肢が出そろった。
そのうえで、次の候補としては必ずしも選ばれない可能性があるのではないかという気がする。それは、日本の道路や駐車場の事情に対し車体寸法が大きすぎるからだ。
たとえ小型のSUVであっても、座席や車高の高さによって乗降が不便でもある。私自身、新車試乗のたびにSUVの乗降では一苦労している。
4ドアセダンは、体を多少屈める必要はあっても、乗降にそれほど苦労することはない。楽に乗降できることを重視する人が、改めて見直すのではないかと思うのである。
実際、SUVの乗降が大変だったり面倒だったりという声は耳に届きはじめている。
2022年3月17日に発表されたA6アヴァントe-tronのコンセプトモデル(写真:Audi)
電気自動車(EV)導入が世界的にはじまっているなか、ドイツのアウディは「A6アヴァントe-tron」のプロトタイプ発表の場で、次のように説明した。
一充電走行距離に対する要望が強いなか、SUVに比べステーションワゴンのほうが空気抵抗は少なく、距離を長く獲得しやすいというのだ。
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