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2022.05.01

あそぶ

「僕自身は絵を描いてる人ってだけ」花井祐介が5年ぶりに日本で個展を開催



新世代のアートと世界をつなぐ“現代美術のビューイングルーム”として誕生した「T&Y Projects」。エキシビション第三弾として、4月23日から花井祐介さんの展示が始まっている。

作品制作中の4月半ば、作品の見どころと個展の舞台裏について、花井さんと「T&Y Projects」代表・栗田裕一さんに話を聞いた。

アーティストの花井祐介さん(左)と 「T&Y Projects」代表の栗田祐一さん(右)。

アーティストの花井祐介さん(左)と 「T&Y Projects」代表の栗田裕一さん(右)。


花井作品史上最大! 200号の最新作

ーー今回の個展はキャンバス作品4点と額装されたコラージュ2点、エディション付きの木版画のほか、陶芸家・野口悦士さんの陶器に絵付した作品などが並ぶ。
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花井作品のコレクターでもある栗田さんが保有する作品と、個展のために花井さんが新たに手掛けたものだ。なかには花井作品初となる200号の絵も展示されている。



花井 普段は自分のアトリエで描くんですが、さすがに200号のキャンバスは入らない。栗田さんと相談して、もうT&Yのスペースで描いちゃおうかって。今回は新しい試みをいくつかやりましたね。

栗田 せっかくの巨匠(花井さんのこと)の、5年ぶりとなる日本での個展なんで、彼がまだやったことがないことにチャレンジしてもらえたらなと思って、200号の作品をオーダーしました。

陶器の絵付に関しては、僕がもともと気になっていた野口さんという陶芸家と巨匠が知り合いっていうことがわかって、一緒にやろうってことになって。

花井 今回の個展は僕ら的に気負った感じは全然なくて、ミーティングもしませんでした。お互いの感覚はもうわかってるので。このスペースをごちゃごちゃさせたらもったいないから、詰めすぎず、バランスよく置くのがいいねっていう感じで。
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世界で活躍する今も「僕自身は絵を描いてる人ってだけ」



ーー花井さんの才能が見い出されたのは、2005年に開催された1回目のグリーンルームフェスティバル。フードブースを出店する先輩のために花井さんが絵を描いた看板が、来日中だったカリフォルニアのギャラリーオーナーの目に留まったのだ。

そこから海外のアートシーンで作品を発表。ビームスやヴァンズ、グレゴリーなどのブランドのデザインも手掛け、一躍有名に。世界的な作家になった今も、花井さんは「自分は何も変わってない」と話す。

花井 最近は、あれ描いてこれ描いてっていうオーダーはなくなってきて、自分が描きたいものだけを描ける環境になってきたことはうれしいです。でも、やってることは変わってない。アーティストなのかイラストレーターなのか、人からいろいろと呼ばれますが、僕自身は『絵を描いてる人』ってだけです。
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栗田 傍から見ていると、アーティストとしてどんどんビッグになってる実感はあります。でも花井さん自身は変わらないし、僕との関係性も変わってないですね。

花井作品に「ノンタイトル」が多い理由

ーー「とはいえ、作風は変わってるんじゃないかな」と栗田さんは見ている。



栗田 一見、変わってなさそうですけど、絵の雰囲気もキャラクターもやっぱり徐々に変わっている。猫が登場したり。花井くん、人物を描くときって誰か近くにいる人を想像してるの? 

花井 顔そのものっていうよりは、友達がこんなことしてたなとか、こうだったらいいなとか、何か勇気づけられたらいいなとかは想像して描いてるかな。

ーー花井作品はあまりタイトルが付けられないのも特徴だ。その理由について、本人は次のように話す。



花井 タイトルを付けちゃうと、見る人が面白くないかなと思って。見た人がそれぞれ、その人なりのことを思って見てもらった方が楽しいじゃないですか。もちろん、僕なりのストーリーはありますけどね。

このキャラクターは怒ってるのか、喜んでるのか、困ってるのか、楽しんでるのかって、見る人によって感じ方は違うじゃないですか?自由に決めてもらった方が僕はいいですね。

ーーこの点が「イラストとアートの違い」だと花井さんは考えているようだ。

花井 イラストは文章を補足するもので、アートはそれ自体で完結するもの。タイトルを付けるときもありますけど、細かくはやりません。
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