「ファッション・カルチャー投資学」とは……
10年ほど前から、ロックTやバンドTがファッションアイテムとして⼈気が⾼いことはご存じだろう。誰もが知るバンドのTシャツの価格が急騰しているなんて話もよく聞く。
では、2022年現在、その実態はどうなっているのか? 古着店「フェイクα」のバイヤーで、世界的なニルヴァーナTシャツコレクターでもある⾨畑明男⽒を訪ねた。
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ニルヴァーナTシャツの価格は5年前の倍以上?
オーシャンズ世代にとって、’90年代は⻘春のド真ん中。あのとき、夢中になって聴きまくったバンドのTシャツが、時を経てファッションアイテムになっている。
それはちょっとうれしい話だが、市場価格もぐんぐん上がっていると聞くと、ちょっと⽬の⾊が変わるだろう。
タンスの奥で眠っているTシャツが、数⼗万円に! なんてことも本当にあるのだろうか?
ベルベルジンの姉妹店、フェイクαでバイヤーを務める⾨畑⽒。
──まず、⾨畑さんもコレクトされているニルヴァーナのTシャツですが、今、市場価格はどうなっているのですか? 「5年ほど前がピークかと思っていたのですが、下がるどころか、
今はそのときより2倍ほどの値段がついているものも珍しくありません」。
──たとえば、どんなプリントのものがいくらで取引されているのでしょうか? 「代表的な
『ネバーマインド』のジャケ写がプリントされているもので、10〜15万円ぐらい。『ハートシェイプドボックス』という曲をフィーチャーしたものでは、
状態やサイズが良ければ、30万円以上するものもあります」。
ニルヴァーナTの価格⾼騰は天井知らず?
──なぜ、そんなに価格が⾼騰したのでしょう? 「⾃分が出した本であるとか、メディアが煽ったのも⼤きかったのかもしれません。あとは、セレブリティが着⽤したものがSNSで拡散されたり。
当たり前ですが、当時(’90S)のTシャツは、市場に出回る数がもう増えませんから、
価値は上がっても下がる理由がないのです」。
誰もが知っている『ネバーマインド』Tシャツは、10万円以上で推移中。状態によっては30万円越えも!
ジャスティン・ビーバーが着たことで価格が急騰した『ハートシェイプドボックス』Tシャツ。
2017年に⾨畑⽒が上梓したニルヴァーナTシャツ本『HELLOH?』。ファンの間でバイブルとなっている。
──なるほど。では、ニルヴァーナ以外のバンドTは、いかがでしょうか? 「モノにもよりますが、⾼値のものは多いです。たとえば、⽑⾊は全く違いますが、ニルヴァーナと同じ’90sに⼈気だったバンド、
マリリン・マンソンで高額なもので20万円弱、’80Sのポストパンクの代表格、
ソニック・ユースで10万円前後の値が付くことがあります。それでもすぐに売れちゃいますね」。
マリリン・マンソンTもプリントによってかなりの⾼値が付く。
タグ付きであることも、価格が上がる要素となる。
こちらはソニック・ユースT。10万円前後に値段が上がってもニーズは⾼い。
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